新型アフリカツイン、エンジンも刷新か⁉
初代はVツインエンジンを搭載していたアフリカツインですが、生まれ変わった現行モデルではパラレルツインエンジンになっていました。
そして今年新型の公開が今か今かと待たれています。
86cc排気量を増し、1084ccになるアフリカツイン。
もちろんパラレルツインエンジンの基本構造を大きく変えることはなさそうですし、2020年モデルは、SOHCかつカムは「ユニカム」カムシャフトとポート噴射の既存のシリンダーヘッド設計で立上ることになりそうです。
そんな中、今回はアフリカツインのエンジンに関する新たなパテント(特許)をキャッチしました。
直噴エンジンパテントの詳細を本気で見てみましょう!
この新しい特許(上記)は、新しいDOHCシリンダーヘッドかつ直噴で、エンジンが大幅にアップデートされている図になっています。
直噴(ダイレクトインジェクション)は、バイクのエンジンとして適さない、というのがこれまでの見解でした。
一方、直噴は四輪の世界では適用拡大しています。そもそもディーゼルエンジンは直噴ですしね。
ポート噴射エンジンでは、ポートに吸気がある段階で燃料と空気が混合されます。
燃料が適切に霧化され、さらにポートの形状でタンブルやスワールといった乱流を起こし、十分に空気と燃料を混合させます。
スパークプラグから点火するときに良い混合気が完成していることは良い燃焼や出力につながります。
ただほとんどのエンジンにおいて、吸気バルブが開いても排気バルブがまだ閉じていない「バルブオーバーラップ」があるため、未燃の混合気(HC)が排気にまわってしまうこともあり、もちろん三元触媒で未燃ガスは燃焼されるものの、排ガス性能的には難しさもあります。
特に高回転域では、混合気をシリンダーいっぱいに満たすためにバルブオーバーラップが必要ですが、それはより未燃混合気が排気にまわってしまうことになります。
直噴の場合、ポートからシリンダーには空気のみが入ってきてバルブが閉じます。燃料が高圧噴射されるときには排気側のバルブが閉じていることが多いため、上記の問題を解消できます。
さらに直噴の良いところはシリンダー内の温度を燃料の気化熱で下げることができ、冷却効率が上がるということも特徴です。
では、なぜすべてのエンジンを直噴にしないのか?
バイクの特徴である高回転エンジンとの組み合わせが非常に難しいためです。
高回転だと排気バルブが閉じてから点火までにほとんど時間がなく、噴射した燃料が空気にしっかりと混ざらない、という状況になります。
これだとそもそも良い混合気が作られず、良い燃焼が得られません。
燃料をより短時間で空気に混合するために、直噴では超高圧の燃料ポンプが必要です。
今回のホンダの新しい特許に見られる重要な要素の1つです。
通常の電動燃料ポンプ(特許図 41番)と同様に、高圧の機械式燃料ポンプ(42)が必要です。これはシリンダーヘッドの上部に取り付けられ、排気カムシャフトによって駆動されます。
四輪ではディーゼルでも直噴スポーツカーでもやはり超高圧燃料噴射が肝になっていますから、今回のホンダの特許も妥当な方向性であると考えられます。
通常大型化する超高圧燃料噴射ポンプが、実際に量産化した時にどこまでサイズダウンできるかが二輪にとっては重要でしょう。
F1も直噴ターボですしね。
かなり量産化に近い特許であることは四輪の事例からもわかりますが、2020年モデルの新型アフリカツインに搭載されるかはまだ分かりません。
あとは個人的に直噴エンジンがバイクに適さないと感じるのはエンジンのサウンドです。
ガラガラといったディーゼルチックなサウンドが出ることが多々あります。
そのような感性に訴えるような性能領域も含めてエンジン屋のホンダが直噴エンジンを二輪向けにどう料理してくるのか、大変楽しみです。