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「生産終了」のアナウンスは悲しかった
312㎞/hという市販車最速ギネス記録を持ち、独特のフォルムで1999年の初代登場以来多くのライダーを魅了してきたSUZUKIの隼。
2014年からは197PSという最高出力はそのままに、逆輸入車よりも12万円安い価格でETCを標準装備した国内仕様の販売を開始。
「隼」国内仕様↑
「180km/hリミッターを気にしなければお買い得」ということで、国内仕様はツーリングライダーに人気の一台です。
これまで色々とモデルチェンジの噂が絶えなかった隼。
ですが、そういった予想もむなしく、排ガス規制強化への対応がかなわ無いことを理由に昨年、隼の生産終了がアナウンスされ、20年の歴史の幕を閉じました。
数々の新車発表に沸いた昨年のバイクシーンの中で、これはかなり残念なニュースでしたね。
ブサファンに朗報です!
2018年12月27日に、SUZUKIのインド法人「スズキ・モーターサイクル・インディア(SMIPL)」が、2019年型のHAYABUSAを発表しました。
2019年型はインドから
まずはその姿をご紹介しましょう。
(メタリックオールト・グレイ↑)
(グラススパークル・ブラック↑)
「あれ、どこが変わったの?」
そうですね、諸元なども見比べましたが、特に変わったところはありませんでした。
強いて言えば
- カラーリングが変わったことと
- ETCが標準装備でなくなったこと
- 生産工場がインドになったこと
ですね。
※のちに知りましたが、インド国内ではバイクもフロントにナンバーを付けなければならないので、フロントフェンダーにナンバーステーがついているのが大きな違いの様です。
映像参照元;RUSHLANE
「インドで大丈夫?」なんて言わないで
「インドで造ったら壊れちゃうんじゃない?」なんていう人いますよね。
いやいや、今どきインドを侮ってはなりません。
アメリカ第一主義のトランプ大統領がEU製品への関税を吊り上げ、EUも米製品に報復関税をかけている現在。
既にハーレーは米カンザス工場を閉鎖してインドに生産拠点を移転。
同様にBMWもインド工場の稼働を上げています。
中国依存からの脱却という方向性も現地の生産力を押し上げている要因。
「グローバル製品はインド等の東南アジアから」という動きは加速しているんですね。
そんな流れの中で、実はこれまでも海外向けのハヤブサは、一部このインド工場で組み立てられてきました。
現在、北米SUZUKIのHのHPでも、ほぼ同じ仕様のHAYABUSAが019年モデルとしてラインナップされているのですが、恐らくこれもインド製である可能性が濃厚です。
ちなみに2019年1月現在、英国SUZUKIのホームページには、2018年モデルの隼が継続掲載されています。
なので、恐らくユーロ規制外の仕様がインド製になっているようですね。
2019年モデルの価格はおいくら万円?
SUZUKIの逆輸入車はMotoMapという会社が扱っているのですが、2019年型は恐らくこちらからの扱いになるか、並行輸入のルートを持つショップが独自に扱うようになるのでしょう。
かろうじて今も日本のSUZUKIサイトにラインナップされている国内仕様の価格は1,609,200円(税込)。
ですが、インド製仕様の現地価格が既に137万4,364ルピー(約214万円、デリーでの本体価格※)になっています。
多分、現地向けの生産ロッド数が少ないのかもしれないですね。
これは高いなと思い、北米スズキのHPで見た2019年型隼の値段は、14,799ドル≒1,606,135 円※。
どこから仕入れていくらで売るかは販売店さんにお任せですが、願わくばETCを標準としない分と相殺で、これまで通り160万円台でお願いしたいですね。
(※いずれも2019年1月初め現在のレートです。)
隼には今後さらなる発展が?
生産終了を「新型への準備」ととらえるファンも多く、隼の新型への期待は以前よりも高まっている様です。
というのも、3月にスズキ自動車の創業記念日があり、この月に隼をモデルチェンジするのではないかと予測する人もあるからでしょう。
紹介しておいてなんですが、今回のインド仕様は朗報ながら、フルモデルチェンジを期待するファンには物足りない情報だったかもしれません。
ただ、SUZUKIはやってくれるはずです!
フルモデルチェンジがあるとすればいつ?
状況的に2019型はあくまで今回ご紹介しているインド製のものや北米仕様がのことを指しますが、フルモデルチェンジがあるとすれば2020年でしょう。
というのも、昨年のドイツ・ケルンショーで発表となった新型KATANA の発売が控えている状況で、ここに隼の新型を投入すればそのインパクトがぼやけてしまうからです。
なので、2019年の3月に出すとすればKATANAが優先されるのは確実でしょう。
また、さらに視点を広げていけば、スズキ自動車の創業は1920年、つまり、2020年は創業100周年です。
そして、今年2019年は東京モーターショウ開催年。
と、いうことは…、
最新鋭の隼が100年目のスズキの集大成、そして、オリンピックイヤーにふさわしいメイドインジャパンの騎手として華々しくデビュー?
だとすれば、まさに身震いするような筋書&タイミングですよね。
2020年に向けて発表するとなれば、十中八九今年の東京モーターショーでしょう!
ターボ化でH2に対抗はあるのか?
次期隼について飛び交う噂の中で、多く聞かれるのが「ターボで武装するのでは?」という話題。
はたまたフロントはハブステアになる?という話もあったりなかったりですね。
SUZUKIとしては、これまでの東京モーターショーでも、6気筒のコンセプトモデルや、リカージョンターボエンジン等を展示してきました。
そして近年、KawasakiのH2シリーズがスーパーチャージャーを持ち、ハイスピードツアラーライバルとして登場。
「アルティメットスポーツの牙城を死守するべく、いよいよ隼が応戦し過給機対決へ?」という噂が、ターボ化にいっそう期待を抱かせるのでしょうね。
確かにそれも面白い話です。
しかし、結論から言って、隼の次期モデルはそんなトンガリ合戦に興味がなさそうです。
隼は、低重心で乗りやすいツアラーとしての快適性と、驚異的な速さが同居した独創的なキャラクターを信条とするバイク。
翼を休める隼の姿と、素早く獲物を狩る姿にある「静」と「動」の「美」をバイクとして表現するというのが、隼の基本コンセプトです。
そしてSUZUKIは、というか、こと隼にあっては、他を追従することなく20年間独自性を貫いてきたマシン。
なので、「H2がスーパーチャージャーだからうちはターボ」と言うほど安易な形で他に翻弄されることはないでしょう。
GSX-Rに源流を求めれば、クラスに見合わぬほどの軽量化で世間を「あっ」と言わせてきたのがGSX-Rというブランドのバリュー。
ターボなどの過給機を「足す」のではなく、NAのまま無駄肉をそいで徹底的に重さを「引く」という、いわば原点回帰を意識した方向性をたどるのではないかと思います。
ハイスピードツアラーとしてさらに円熟味を増す?
とかくトップスピードだけが語られることも多い隼ですが、跨ってみると本当にどっしりとして足つき性もよく、素性はゆったりとしたツアラー。
恐らく、次期モデルでもこの基本線は大事に保ってくるのではないかと思います。
筆者が色々と集めた情報によると、
- エンジンが1400㏄で、コンパクトなものになる。
- フレーム・スイングアーム等骨格もスリム化軽量化が図られる。
- 隼としての基本デザインイメージを踏襲して見た目を大幅に変えない。
- 電子制御を今風に進化させる(IMUで、スポーツABS搭載、クルーズコントロールも装備)。
- MotoGPでGSX-RRが搭載している「シームレスギアボックス」を採用し、クルーズ性能・スポーツ性能の一挙両得を図る?
- エクゾーストシステムは車体下部にチャンバーボックスを配し、これにより2本だしのサイレンサーをややショートにしてくる。
つまり、ハイスピードツアラーとしての快適性とスーパースポーツとしての速さがさらに研鑽され、初期モデルが隼の名の中に追い求めた「静と動の美」がさらに昇華する。
これが次の隼の姿なのではないかと筆者は予想します。
まとめ
来年の話をすると鬼が笑うと言いますし、せっかくの2019年型にはちょっと悪い気もしますが、今回は早くも2020年型の隼を予測をしてみました。
2019年モデルを弁護すれば、一時期は「ない」と言われた新型がちゃんと出てきたわけで、これはこれでしっかりうれしいですよね。
いずれにしても、SUZUKIはバイクのキャラクターや存在感を際立たせるのが実にうまいメーカーだと思います。
恐らくバイクを知らない人でも、隼の独創的なフォルムを見れば「あれは隼だ」と認識できる人は多いでしょう。
それだけ見た目の押しの強さもありながら、豪快さの中に親しみやすい一面も兼ねそろえるのが隼というバイク。
次期モデルは新時代を代表するアルティメットスポーツバイクとして新技術を満載しながら、スピード感や快適性に磨きをかけたものになる。
これは筆者のみならず、多くのライダーが期待するところでしょう。
早くも来年に向けた秋の東京モーターショーが楽しみですね。