【試乗レポート】YAMAHA FJR1300AS 電脳バイクでお父さん力UP!
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FJRで連れてって!

筆者は今回幸運にも、YAMAHA FJR1300ASを1週間お借りする機会に恵まれました。

FJR1300ASといえば随所に電脳技術が活かされたスポーツツアラー。

最新機種ではないのですが、このバイクの独特な技術にもっと脚光を浴びせたいと思います。

『ならば、このFJRの電脳の素晴らしさをどうお伝えするか?』

そう思案しているガレージに、小2の娘が学校から帰って来ました。

FJRを見るなり娘は、

「わー、カッコいい!お父さんこれに乗ってどっかに行こうよ!!」

と珍しくテンション上げ上げになっています。

ちょうど翌日は娘の学校の休校日。

これは好都合ということで、娘とタンデム旅行をしながら、FJR1300ASの魅力を引き出していくことにします。

人を旅に誘うジェントルな外観

娘をその気にさせたのは、

全長/全幅/全高は2,230mm/750mm/1,325mmという重厚感。

また、LEDヘッドランプ上には車体の傾きを検知して作動するコーナリングランプが装備され、電動スクリーンを有する精悍な雄姿もまた、娘を引き付けたところでしょう。

今回のFJR1300ASには

片側30Lもの大きなサイドバック(オプション)が装備されています。

スポーティーでありながらジェントルな佇まいは、

「よし、これでどこに行こうか」

と、お父さんのヤル気にも火を灯してくれました。

小柄な人にもフレンドリーなポジション

これだけ大きなバイクとなると、「自分の体格で支え切れるのか?」と気後れしてしまうわけですが、

高さ・近さ共に程よいハンドル。

ポジションは実にフレンドリーなもので、傍で見ていたのとは裏腹に、乗ってしまうと大きさを感じなくなるのが不思議です。

シート高は805mm。

身長162㎝の筆者にして、地面とかかとの間に紙一枚入るかくらいで、片足をしっかりと接地させることができます。

ただ、車重は296kgなので取り回しはお世辞にも軽いとは言えません。

それでもいったん乗ってしまうと、非常に低重心な車体のおかげでふらつくこともなく、足をこれだけしっかりと接地できることで不安なく立っていられます。

ちなみにシート高は、

シート下の台枠をずらし、シート金具の差込口を変えることで、25mmUPの805mm→825mmに調整することが可能。

HIの設定で試しましたが、特に足つきがキツくなるということはありませんでした。

このポジションは高身長の方はもちろん、重心を上げてスポーツライドを楽しみたい時などに有効かもしれませんね。

子乗せタンデムのポイント

娘には前回X-MAXをご紹介した際に登場願ったばかり。

ですが、今回は逆に娘のリクエストに応えてのツーリングで、お父さんとしても気持ちが上がります。

天気も完璧な晴れ予報。

少々の距離を許容してくれるであろうFJR1300ASの行き先を考えている窓の外に雪の冠を頂いた富士が見え、「大観山」の3文字が行き先として自然と筆者の頭に浮かびました。

周到な準備を

晴れ予報とはいえ、秋の山にはそれなりの準備が必要。

とりあえず保冷バックに切り込みを入れ、ユニクロダウン+RSタイチ製の子ども用ドライマスターで娘に防風対策を施しました。

今回のFJRにはサイドケースもありますが、ツーリングバックを装着。

中身は子どもの予備の着替えや、おやつくらいでスカスカですが、これは主に子どもの背もたれ用です。

また子乗せではすぐに子どもが寝てしまうので、タンデムベルトを装着。

当然会話も必要なのでインカム(今回はB+COM4)も必須です。

完成すると大体こんな感じのビジュアルになりますね。

高速前には親子で気持ちを仕切りなおす

小さい子を乗せて走るときには休憩をまめにとるのがコツ。

筆者はいつも親子タンデムで高速に入る前には必ずコンビニに立ち寄り、おやつを買い込みながらトイレを済ませてもらうことにしています。

さらに高速に入る前には「これからもっと景色が良くなっていくよ」と楽しみを持たせながら良い形で緊張感を高めてもらい、親子で気持ちを仕切り直していくといいでしょう。

これまでも親子タンデムは海ほたるPAまで行きましたが、この時もこの点には気を使いました。

今回はFJR1300ASのゆとりに手伝ってもらい、さらに豊かな旅へと走り出します。

市街地で助かるYCC-Sのゆとり

このFJR1300ASの売りはなんといっても電子制御シフトYCC-S

概要を知っていたとはいえ、初体験となるクラッチレスのギア操作は、乗車を前に半端ない緊張感を抱かせました。

しかし、自動制御の半クラッチに戸惑ったのもほんの束の間。

走り出せば一般のバイクと同様に、リアブレーキコントロールで出力を制御すれば普通に扱えるのがわかります。

1速に入れたままでも止まっていられるうえ、手を離したままでもこのフットペダルでシフトチェンジすることもできます。

まるでカブやメイトに乗っているような気軽な操作感覚。

といってもギアはロータリーではなく、N-1-2-3-4-5-6という並びです。

走行中に間違えて1速からNに入らないようにもなっているので安全。

その上、車速に合わせて自動的にシフトダウンしてくれるのは本当に楽なものでした。

さらに、「ストップモード」をONにしておけば、信号待ち等でギアを1stに戻しておいてくれるので、青になったらアクセルを開けるだけ。

このおかげで渋滞しがちな市街地走行では、気を使いがちな低速下でも娘との会話に花が咲きました。

指先で極楽を創る

最初は「こんなにいっぱいあって大丈夫か?」とも思っていた左ハンドルのボタン群ですが、

使ってみると操作性が良く、思っていたより簡単ですぐに扱えるようになりました

電子制御がライダーの感性に沿ってサポートしてくれていることが実感でき、乗り込んでいけばいくほどに、FJR1300ASを優しい存在として感じられるようになります。

サスのキャラクターを楽しみながら高速へ

FJR1300ASは前後サスも電脳。

STD・SOFT・HARDの設定に任意の硬さ調整ができ、プリロードの調整とも合わせればその組み合わせは84通りにもなります。

市街地では電サスをソフトの設定にして、

20㎏ちょっとの娘なのでプリロードも、

最初は「ライダー+荷物」の設定にしていたのは娘には内緒。

これから高速に入るので、

コンビニを出るときに、ハードの設定に変更し、

一応レディーかと思い直して、プリロードも「タンデム設定」に変えて高速に入ったというのも内緒にしておいてください。(笑)

「ソフト」はソファーに乗っているようなゆったりとした乗り味。

「ハード」ではタイヤの接地感を保ちながら、シャキっとした乗り味です。

設定パターンすべてを試すことはできませんでしたが、この変更だけでもサスのキャラクターがはっきり違うのがわかりました。

通常なら、工具をいくつか持ってきて時間をとるところですが、FJRは指先一つ。

走行中にも設定変更が可能なので、これは愉快爽快です。

さて、娘もFJRも気持ちとサス設定を入れ替えたところで、いよいよ高速に入っていくとしましょう。

風を楽しむ電動スクリーン

料金所を出発。

電動スクリーンを立てて走り出すと肌寒さが和らぎ、スクリーンのウインドウプロテクション効果を実感じます。

また、ヘルメットで感じる風切り音もマイルドのなるので、高速に入ってもインカムで聴く娘の声が聞き取りやすくなりました。

指先シフトは病みつき

ATでありながらギアアップが自動では無い点がFJR1300ASの面白いところ。

先述のようにシフトペダルも使えますが、左ハンドルのシフトスイッチでも変速が可能です。

「-」「+」のシフトスイッチは「パシュっ!パシュっ!」と指先できまる感覚が気持ちよく、高速の合流などで見せるシームレスな加速感はもはや病みつき。

このスイッチのおかげで、足はペダルに置いたままでもシフトチェンジでき、逆に手を休めながら足で操作することもできます。

クルーズコントロールの虜になる

そして筆者を虜にしたのがクルーズコントロール。

車の流れに乗ったところで、クルーズコントロールをセットし、右手を離しても、バイクは設定速度をそのまま維持してくれます。

セット後は速度の微調整も、コントローラーを上下に動かすだけ。

筆者の車にもついてはいますが、バイクでクルーズコントロールは初体験。

もはやライダーはバランスをとっていればよいだけの状態になり、その快適性はまさに異次元。

左手で西湘の海を指さしながら桑田佳祐の物まねをしたり、右手で山を指さしながら「♪箱根のヤマハ~天下の件」と替え歌したり。

親父のにわか観光ガイドで、娘には和んでもらいました。

親子でヤマハハンドリングを楽しむ

磯の香りを感じながらの休憩も終わり。

ターンパイク登りは路面変化も大きくなることを予測し、

サス設定をスタンダードに切り替えました。

この設定は接地感がありつつ腰のある、ハードソフトのいいとこどりの様なニュートラルな感触でした。

300kg近いバイクに2人で100kg超の親子が載っているにもかかわらず、コーナーの切れ味は鮮やか。

流石コーナーのヤマハだなと感心させられます。

かつてYZF-R1で目を血走らせ登っていったターンパイク。

ですが、娘を乗せたFJR1300ASでは走る意味も違い、YCC-Sをボタンで操作しながら切り返していくコーナーは、かつてないほど穏やかに見えました。

季節は秋。

紅葉も始まってきれいだったのでカメラを娘に渡すと、喜んで景色を撮ってくれました。

「親父の頭にいわし雲」

「沿道の紅葉」

そして自撮り…?

とりあえずこの笑顔見る限り、娘もFJR1300ASの乗り心地にご満悦な様です。

盤石なツアラー

昼頃に大観山に到着。

我が家から80㎞ちょっとの距離でワインディングもある道のりでしたが、娘にも疲れた様子はなく、芦ノ湖越しの富士山を見てさらにはしゃいでおります。

この後軽食を摂って椿ラインを降りましたが、なんとこの間インカムからは娘の寝息だけが聞こえておりました。

後で娘に聴くと、

「他のバイクより大きくて揺れないから寝やすかった」

とのこと。

その間お父さんは、極々ゆっくりとしたペースながらテクニカルなコーナーを楽しんでいたわけで、スポーツツアラーとしての盤石ぶりがよくわかるエピソードでした。

椿ラインを降りた湯河原では、娘にとって人生初のみかん狩り。

たまたま、みかん園が自分と同じ苗字だと喜んでいました。

みかん園のおじさん・おばさんも本当に親切にしてくださって、

サイドケースはみかんでパンパン。

これで我が家の「コタツみかん」も盤石です。

5kgにもなったみかんと思い出をのせて、

プリロードの設定を「タンデム+荷物」にして帰りました。

帰路に就いた夕方に、気温が少し気温が下がりましたが、

再度スクリーンを立てて、グリップヒーターをONにすると手先と心がホッコリ。

「次もこのバイクでどこかに連れてって」

という娘は宿題の日記に今日のことを書いて、もう夢の中です。

(ゴメンね、そうしたいけど広報車だからヤマハさんに返すんだよね…)

まとめ

「バイク+電脳」というとアレルギーを起こす人もいるようですね。

でも、ライダーによる操作を必然とすることで操る楽しみ活かしつつ、疲れやストレスに変わっていく部分をバイク任せにできるのがFJR1300ASの電脳装備。

今回はわゆる「電脳バイク」の優しさに触れた気がします。

ちゃんとしたスポーツバイクであり、盤石なツアラーであるFJR1300AS。

とにかく最後までメカとして無機質な部分を感じることなく、心に残るほのぼのとしたバイク親子旅ができたバイクです。

筆者はこれまでもいくつかのバイクで親子タンデムを経験してきましたが、ここまでバイクの上で親子にゆったりと過ごす時間をくれたバイクは他に無かったと思います。

AS独特の操作性、そしてこのゆとり。

試乗車検索をこちらに用意しましたので、皆さんも是非お近くの販売店でご体験なさってみてはいかがでしょうか。

 

車両協力;ヤマハ発動機販売

撮影協力;山本農園
*(みかん狩りは10月上旬~12月下旬まで可能。
時間無制限食べ放題です。
案内所はオレンジラインを下った先のジョナサン前、
詳しくはこちらまでお問い合わせください。)




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