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新生 KATANA聖地で復活!
まだセミの鳴き止まぬ2019年の9月。
SUZUKIは「天下の宝刀」とも呼ばれるレジェンドバイク「KATANA」の復活を、毎週水曜日に公開のティーザー映像で匂わせてきました。
・それぞれの映像は、モーターサイクルナビゲーターの中でも逐次お伝えしてきましたね。
いよいよ10月2日、初代KATANAの聖地ドイツ・ケルンで行われたINTERMOTO2019のプレスカンファレンスで、その姿が完全に公開されました!
今回はSUZUKIブースのカンファレンスの模様を、交えながら新生KATANAの姿を「改めて」見ていこうと思います。
KATANAがホントに切っちゃった!
注目のスズキブース、カンファレンスの司会を務めるのは、マン島TTレース司会で知られるスティーブ・パリッシュさん。
筆者もスティーブ・パリッシュさんとは、マン島でご一緒させていただいたこともあるのでなんだか縁を感じます。
パリッシュ氏の横にはすでにKATANAがスタンバイ。
新型のDR-Z250、
GSX-S750が紹介された後、
新しいレースレギュレーションにも適合した、GSX-R1000/GSX-R1000Rがスクリーンの中で紹介されました。
特にGSX-R1000Rはの紹介ツクバでの激走シーンもあり、日本人的に見ごたえのあるもの。
壇上で細かなデーターは紹介されませんでしたが、シャーシ周りがアップデートされている模様です。
これらについて詳しい諸元情報などが入りましたら、後日お伝えしていこうと思います。
さて、これらのバイクの紹紹介終わり、いよいよメインイベント、KATANAのアンベールに移ります。
スクリーンには、これまで太刀をかざしていた侍が出現。
この侍が「シャキーンっ!」と刀で空を切ると、ベールがはがされるという演出です。
しかしここでまさかのハプニング!
きれいに引くはずだったベールのワイヤーは、「シャキーンっ!」という音とともに本当に切れてしまい…。
司会のパリッシュさんが、「ヨイショ」とどかしてアンベールとなりました。
「き、切れたよぉ…」
これを見ながら筆者は思わずとビビってしまいました。
もう既に、ティーザーで見慣れてしまった感もありますが、改めてその姿をご覧いただきましょう。
さて、いかがでしょうか?
壇上には、スズキ二輪統括マネージャーの西川マサヒロ氏*が登壇。
(*お名前の漢字がわからないのでカタカナで表記させていただきました)
(西川さん)「スズキにとってヨーロッパは大切なマーケット、私たち日本人が培ってきたモノづくり精神で、世界の人々に喜んでいただけるバイクをと考えました。
昨年イタリア・ミラノで行われたEICMAで公開されたKATANA3.0(スリーポイントゼロ)を覚えていらっしゃると思います。
このバイクはスズキ・イタリアが、イタリアのバイク専門誌「モトチクリスモ」と、高度な車両制作技術を有する「エンジン・エンジニアリング社」の協力を得て制作したものです。
デザインは、ルドルフォ・フラスコリさんによるもの。
刀は、鉄の中に高い芸術性を持たせた日本古来の武士の剣のことで、それは数100年の歴史を持った日本クラフトマンシップの象徴でもあります。
私たちは、ロドルフォ・フラスコーリさんのデザインで、新しいKATANAにこの精神を息づかせることができました。
日本に根付いた「モノづくり」の精神を世界の皆様にご体験いただける機会を得たことを大変うれしく思います。」(意訳)
と、新生KATANAに込めた精神を語られました。
なるほど、やはりあれは、スズキ本社が承知して造っていたんですね。
どおりでパーツの処理が細かいと思いましたよ。
最後に、デザインを担当した、ロドルフォ・フラスコーリさんが登壇されました。。
ロドルフォ・フラスコーリさんはトライアンフ・タイガー等のデザインを手がけたデザイナー。
壇上では、新生KATANAに込めた思いや、誕生までの経緯を語ってくれました。
(スティーブ・パリッシュさん)「このKATANAは、まるで自分のベイビーのように愛おしいことでしょう、これまでの経緯がどうだったのか聞かせてくれるかな?」
(ルドルフォ・フラスコリさん)「このプロジェクトは3年近く前から始まっていて、2016年のEICMA でスズキに、KATANA(プロトタイプ)のデザインを提案していたんだ。
スズキが僕の案を気に入ってくれたので、エンジン・エンジニアリングと一緒にアイディアを出しながら出来上がったのが、昨年のKATANA3.0なんだ。
「それはエキサイティングなプロジェクトだったんだね。ところでどうしてKATANAを制作に選んだの?」
そうだね、KATANAはとてもファンタスティックで、スズキにとって凄く大切なバイクだと思っています。
40年近く前にこの場所でデビューしたときは、スタイルといいメカニズムといい何もかもが革命的で、世の中に本当に大きなショックを与えたモデルだったよね。
だからこそ、その陰影を将来に残そうと考えたんだ。
「まさにスーパージョブ。すごいねぇ、今回のKATANAで一番こだわったのはどんなところ?」
先代KATANAはタンク、カウル、スクリーンが連続したラインを描いていて、サイドペダルから何から一つのバイクの中にインテグレートされていた。
それが一つの革命だったよね。
なので、新生KATANAのデザインでは、前モデルにあったように、タンクやフェアリングを連続したラインにエッジを効かせてまとめたんだ。
もう一つの革命、かな?
「なるほど、これはまさに君のベイビーだね、素晴らしいよ。本当にありがとう。」
*訳はかなり意訳しているので、専門の方がお聞きになったら違うと思われることろもあると思いますが、話としては大体こんな風に言っておられるものと思います。
*英語のおわかりになる方は下の動画でチェックしてくださいね。
斬りまくった世論、どう鞘に納める?
さて、ここまで9月初めから毎週水曜夜、4回にわたって公開されたティーザー映像をご紹介してきましたが、その度ごとに様々なご意見を頂戴しました。
例えば、
「これは自分たちが望んだカタナの姿ではない」とする意見。
もう一方で、
「時代とともにカタナがあたらしくなるのはアリだ」とする意見。
特に最後のティーザー映像公開時。
そこに映る車影が昨年11月のEICMAで公開された「KATANA3.0〔スリーポイントゼロ〕」とほぼ同じであることが明らかになった時は、相当数のご意見を賜りました。
引用元;YOUNGMACHINE
最後のティーザー4公開時に書いた記事の中で、筆者としては「乗り味にそのスピリッツが継承されているのではないか?」と考えました。
これはいろいろ揶揄される新車も、実車に触れて、その乗り味を確かめてみると、外見の印象とはまた別の感想を得ることが多いという経験から。
ただ、多くの皆さんのご意見を頂戴しながら、KATANAには「刀」という概念が存在しているのを知りました。
頂戴したご意見の中で一番わかりやすかったのは、z900(Z1)と今のZ900RSに例えての話。
「あれは別の名前だったから良いのだけれど、今回はちょっといいくらいのバイクで刀そのものを名乗った。そこが違うのだ」。
このご意見には刀というバイクへの思いがよく表現されていると思います。
↑こちらにはさらに詳細な画像や、スペックなども載せています。
色々は思いを持って改めてみてみるのもいいかもしれませんね。
例えば4輪でも、日産のスカイラインが、おとなしさ故に「GT-R」を名乗らない時代がありました。
箱スカからR32までは、やはり相当な年月が必要でしたね。
ただ、R32が箱スカと同じ形でなかったからと怒る人もそうはいないわけです。
それを名乗るにふさわしい夢と驚きがR32にあったからこそ先代と同じスカイラインGT-Rを「襲名」し、ファンとしてもそれぞれの持ち味を理解しているのだと思います。
1980年に初代KATANAが世に放った、「夢で時代を切り裂くような驚き」。
さて、これが新生KATANAのどの辺にあるのか?
見えないとすれば、われわれがよっぽど高性能バイクに目が肥えてしまったか、はたまた乗り味の中にそれがあるのか?
やはりそれは、実車を前にしたときの印象も含め、今後検証する必要がありそうです。
まとめ
恐らく、刀のデザインやスペックなどを紹介して終わるサイトも多いと思います。
しかし、筆者としては、
「造り手が何を考えたのか?」
ここにフォーカスを当てる意図で、かなり意訳ではありましたが、カンファレンスの様子をお伝えしました。
お伝えしたように、この小さなサイトの中でも、KATANAを題材にしたときには、普段いただかないほど沢山のご意見を頂戴します。
ですから、恐らくメーカーとしてもここまでの大幅なモデルチェンジには相当な覚悟があったはず。
なので、そこに踏み出したSUZUKIの勇気は称賛されるべきものがあると筆者は思うのです。
ともかく平成の後の時代、これが新車で買えるKATANAとなります。
恐らく試乗車があちこちに配備されるようになって初めて、様々なご意見が鞘に収まるのはではないでしょうか。
筆者は今後も往年のカタナ乗りの方や、刀の名店にインタビューをするなど、新生KATANAが収まる「鞘のかたち」を探っていこうと思います。
詳細は全く未定ですが、これは必ず書いていこうと思うので、その時はまたモーターサイクルナビゲーターでお目にかかります。