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つながるファンイベント
2018年9月15日(土)新潟県の苗場プリンスホテルで、ヤマハのファンイベント「YAMAHA MOTORCYCLE DAY」が開催されました。
このイベントは、昨年までヤマハが開催していたドラッグスター系のミーティング「Starミーティング」や、MT系のバイクが集まる「MTミーティング」を一本化して行われたもの。
第1回目となる今年は、会場を東西に分けて開催され、筆者は東会場の苗場にお邪魔しました。
今回はこの「YAMAHA MOTORCYCLE DAY」をレポートしながら、「バイクでつながる」ということをあれこれ考えていこうと思います。
メーカーファンイベントの醍醐味
メーカーファンイベントの醍醐味といえば、気になっていた車種を乗り比べたり、それらについてとっておきの情報を仕入れることができたりすることでしょう。
ヤマハ全ラインナップを体感
今回はなんと、ヤマハ発動機のラインナップ全20車種に、プレストコーポレーションが海外から輸入している3車種を加えた23車種による圧巻の全車種展示が行われました。
しかも、ほぼすべての車種が跨りOKとあって、多くの来場者がその感触を体感。
ヤマハのディーラーであるYSPに行っても、全車種を一気にとっかえひっかえ跨り比べができる機会というのはないと思います。
多くの参加者にとって、これは相当に貴重な体験となったのではないでしょうか。
展示車両の中には、復活を果たした新型セローやトリッカーの姿もあり、
イベント前日に全容が公開されたばかりの新型SR400も全カラーが展示されていました。
↑渋さのヤマハブラック
↑ポップなイメージのグレーイッシュブルーメタリック4(ブルー)
実車を見てこの色だけ、ライトも同色に塗られていることに気づきました。
このワンポイント、結構かわいいです。
↑SR400 40th Anniversary Editionは、本当にギターのような、実に味わい深い色でした。
雨天であったのは残念でしたが、それでも自然光の下で見る新色の輝きに多くの人々が引き込まれていました。
そしてこのSR3台の隣には、国内販売の開始が発表されたばかりの、LMWスポーツバイク、NIKENも登場。
これまでステージの上にあるNIKENを何度か見てきましたが、この距離、しかも野外で見る走行可能状態のNIKENはまた違った印象を受けます。
受注生産のNIKENだけに、さすがにこちらは跨りNGでしたが、これだけの至近距離でぐるっと360°くまなく細部を眺められる機会は今後もなかなかないかもしれませんね。
実は上記それぞれの車種に添えた関連記事は、筆者も実車を見ることができないまま書いたものです。
諸元の数値などをもとにしてはいますが、自然光の下でマシンたちの佇まいに触れると、スケール感を伴って予想以上に魅了されることも少なくはありません。
また筆者にとって、新型車以外の展示車両のほとんどは、これまで試乗記でもお伝えしてきた「知っているはずの車両」。
しかし、改めて実車に跨ってみると、また新鮮な発見があったりもします。
そんな風に、遠慮しながら店先で、お店の人に断って跨らせてもらう時以上にじっくりとマシンに触れ、印象と実際とのギャップをぐっと縮めることができる。
これもイベントの雰囲気がなせるところでしょうね。
エンジニアのヤマハ愛に出会う
SRとNIKENのそばには、開発を担当したエンジニアの方が、求めに応じて親切に説明をされています。
SR担当の渋谷さん。
複数のエンジニアの方が、こうして丁寧に説明されていました。
※映像を一部加工しています
彼らは展示中の他のマシンの開発にも関わられていて、それぞれのバイクが目指したところなど、耳よりなお話を聞かせてくれました。
「こいつはね」と、まるで自分の子を人に紹介するように話すエンジニアの皆さん。
もちろんその車種に対しての知識も深まりましたが、なにより彼らが抱くバイクへの愛情というものがまっすぐに伝わってきました。
そうしてエンジニアの方々から直接お話を聞いているうち、
「僕らは、これほどまでにバイクに愛を持った人たちが、苦心して造ったバイクに乗っているんだな」
ということに気づき、これまでなかったほどの親近感がわいてきました。
きっとこれも「つながり」というもの。
メーカー主催ファンイベントならではの大きな味わいですね。
ブースも華やか
イベントの中では、協賛各社のブースが立ち並びました。
見てさわって訊ける
会場で展開されたブースはタイヤやプラグ、タンクバックやアクセサリー類etc…。。
商品について日ごろ気になっていることなどを直接メーカーさんに聞けるチャンスとあって、説明に聞き入る人の真剣なまなざしも印象的です。
メーカーや協賛各社の方々にとっても、ライダーの意見を直接聞くことのできる良い機会。
「見ざる言わざる聞かざる」は日光のお猿さんに任せて、イベントでは「見て触れてどんどん訊く」がおすすめです。
「これって、こうだったらいいと思うんだよなぁ」というライダーの意見はメーカーさんの大好物ですからね。
ブースに集まる「ヤマハ愛」
また、今回はY’Sギアの特売コーナーも大盛況でした。
特に全車種のグッズすべてを手に取れるというのはなかなかない話。
筆者もつられてついつい買ってしまいました(笑)
ヤマハファンには外せないブースですね。
車両だけでなく、こうして普段ないものに出会えるというのも、イベントの楽しいところでしょう。
イベントは社会にも貢献
ヤマハが長く「NICE RIDE 募金」を通じで協賛している(公財)日本盲導犬協会もブースを出展。
盲導体験コーナーが設けられていました。
盲導犬に触れ合いながらその賢さに感心。
名前を呼んだ時の反応が一般の飼い犬とは違てすごく俊敏なのです。
筆者もわずかながら「NICE RIDE 募金」に募金させていただきました。
さらに、特設ステージではチャリティーオークションも行われ、
中須賀選手のサイン入りグッズや、MotoGP日本グランプリのチケットなども出品され、セリあがっていく様子に会場が盛り上がりました。
こうしてファンが集まり、交流を深めることで、バイクが社会ともつながっていく。
目には見えなくても素晴らしいつながりが、ここにはちゃんとあるんだなと思いました。
イベントは駐車場が面白い
会場には、関東はもとより東北や北陸、さらには東海圏など遠方のナンバーを付けたヤマハ車が多数駆けつけています。
季節の変わりの雨が降りしきるにもかかわらず、その光景は、「ヤマハ愛」を強く感じさせるものでした。
ちょっと懐かしい車種を愛し続ける人。
今では珍しくなった車種を永く大切に乗り続ける人。
さらにはファンをうならせるカスタム車を作り上げた人も…。
それぞれの車種に込められたファンの愛情や知恵に出逢うことができるのも、こうしたファンミーティングの醍醐味ですね。
つながれ「ヤマハ乗り」
ヤマハの旗印のもとにツーリングを楽しみ、車種の垣根を超えてバイクを肴につながりを楽しもうというのが今回のイベントテーマ。
人と人とをつなげたい
会場の受付では、事前エントリーをした参加者に、記念品として「ヤマトのり」をもじった「ヤマハ乗り」が配られました。
なんでも、「ヤマハ乗りをくっつけちゃおう」というノリで企画されたのだとか。(笑)
しかし、いざ交流といっても、見ず知らずの人に話しかけるのがなかなか苦手という人も少なくありませんよね。
もっと言えば「人と話すにはきっかけがほしい」と思う人が多いのかもしれません。
そこで、参加者には「~乗り」と書かれたワッペンが配られ、ブレイクスルーツールとして威力を発揮していました。
本来ここには車種をきっかけに交流できるように自分の愛車を書いて置くのですが、筆者の場合は…
こんな風に31年の間に乗った全車種を書いてアピールしました。
ちょっと反則ですが、「そんなにいっぱい?すごいですねぇ」と声をかけてくださる方も多数。
その効果は確かにありましたね。
このワッペンを(みんなでつけることを)考えた人はすごいと思います。
心と心をつなげたい
さらに会場中央には、メッセージボードも設置されていて、参加者が自由に書き込めるようになっていました。
スペースの関係で全部はご紹介できませんが、内容を一緒に見ていきましょう。
こういったヤマハへの称賛の声。
特に、一つの車種に長年一途に惚れこんでいる人のコメントは称賛に値しますね。
今後も末永く大切に乗っていてほしいものです。
愛車への称賛、そして絶版車やそのパーツの再販を望む声も多いようです。
(特にドラッグスターシリーズ復活を望む声は複数ありました。)
そして苗場まで、かなり遠方からの来場したライダーのメッセージには、
バイクでの出会いから結婚30周年を迎えたという素敵なメッセージもありました。
雨の中、富山から来られた道程はご夫婦の絆あってのものだと想像できます。
それぞれの肉筆からは、ヤマハや愛車に対する思いはもちろん、「バイクのある暮らし」をそれぞれに想像でき、多くの人がこれらを読んで共感したのではないかと思います。
恐らくこのボードこそが、「YAMAHA MOTORCYCLE DAY」の精神。
参加者の気持ちを静かにつなげていく重要な役割を果たしているのではないかと思いました。
まとめ
今回は雨の開催となり、「行こうと思ったけどあきらめた」という声がSNS上に多数見受けられました。
それだけに、集まることのできたライダーたちにとって雨に降られて苗場までたどり着いたこともまた、つながりの為の良いきっかけになったようです。
バイクのイベントというと、とかく新車やパーツなどの情報発信がメインになりがちですね。
しかし本文では、会場の外の駐車場にあった参加者の愛車たちや、メッセージボードにあったライダーの気持ちにも目を向けながらお伝えしました。
雨の中駆け付けた希少車種や、遠方ナンバーのバイクたち。
そしてメッセージボードのホッコリするような参加者の声。
イベント進行の中では恐らく気づかれなかったかもしれないけれど、そこにはライダーたちのバイク愛がもったいないほど溢れていました。
会場でこぼれてしまっていた「つながりの具」、それらをすくい上げて会場に来られなかった人たちとも共有したい。
筆者はそんな思いで今回の記事をまとめました。
バイクでツーリングする楽しみや、仲間と語りあう喜びなどを共有することを目的に開催された今回の「YAMAHA MOTORCYCLE DAY」。
その趣旨どおり会場では、メーカーとユーザー・人とバイク・バイクと社会・ライダーとライダー、といった様々な繋がりを見ることができました。
返す返す、そぼ降る雨を恨めしく思うわけですが、次回はぜひ晴天の元、今回来場できなかった多くのライダーとも交流したいですね。
取材協力;ヤマハ発動機販売株式会社
YAMAHA MOTORCYCLE DAY ご来場者の皆さま