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電動原チャと侮るなかれ
2018年9月11日、ヤマハ発動機は公式HP内で、台湾の二輪車メーカーGogroとの協業開始に向けての検討を開始したと発表しました。
協業の対象となるのは、電動スクーターの開発とOEM生産委託。
目玉となるのはバッテリー交換システムの供用についてで、両社は2018年内に正式契約を結ぶ方針です。
「ふーん、スクーター?興味ないなぁ…。」
という人もひょっとしたらいるかもしれません。
でも、コレはもっともっと大きく注目されるべき問題なのです。
今回はその点についてお話していきたいと思います。
この話は大化けする!
e-ビーノにのった出川哲郎さんが、スイカの半帽をかぶって、
「充電させてくれませんか?」
と、街々を訪ねながら、充電中に起きるエピソードで構成されている番組がありますよね。
あれは、充電に多少の時間がかかるという、電動車の欠点を逆手に取った企画だといえるでしょう。
写真出展元;ヤマハ発動機
しかし、バッテリー交換式は写真のように、バッテリーが切れそうになったら、最寄りのステーションで充電済みのバッテリーと交換するので、充電待ちはなくなります。
このインフラが拡充すれば、電動車の欠点は一気に過去のものになるでしょう。
今回ヤマハ発動機が協業するGogoroという会社は、バッテリー交換型の電動スクーターと、交換用バッテリーを管理・充電するステーションを展開している会社です。
Gogoroエナジーネットワークは台湾国内に、既に750か所のバッテリーステーションを設置しています。
さらに2019年には、このバッテリーステーションを1000か所以上に拡充していく方針です。
あの写真を見て、なんとなく、あのコンビニに見えたという方は先見の明がある方。
想像してみてください。
コンビニのATMでお財布にチャージする感覚で、ついでにバッテリーを乗せ換えるといういことを。
[video src="https://cdn.gogoro.com/resources/videos/smart-power/swap-and-go.mp4" /]
動画出展元;Gogoro
あのATMだって、我々の生活を相当便利にしてくれましたよね。
コンビニにとっても「ついで」の効果を狙って設置しているわけです。
電動車にとって充電はなくてはならないもの。
ならば街道のコンビニが集客を狙ってステーションを置いてくれるはずです。
画像出展元;Gogoro
今どき、地方の過疎地に行っても、コンビニなら一軒くらいはあるはず。
「コンビニに行けば大丈夫」そう思って走れば安心じゃないですか?
夏には涼んで、冬にはあったかさもチャージ。
できたらTポイントもお願いしたいですね。(笑)
ガラケーをスマホにした日を思い出そう
先日ヤマハのYZF-R1が誕生20周年を迎えたわけですが、初代R1に乗っていたあのころは、確かインターネットが普及し始めたばかり。
今の若い人に笑われてしまいそうですが、電話がかかってくるとネットが切れたり、携帯だって電話機に毛が生えたものでしかなかったけれど、それが常識でしたよね。
そんな時代に、スマホを持っていれば指先でいろんなことができる世の中を誰が想像していたでしょうか?
つまり、今の常識なんて永遠じゃないんです。
既に世界の自動車業界は、EV化に向けて動き出しています。
「親会社のフォルクスワーゲンやが電動化に舵を切ったことで、傘下にあるアウディー直下のDUCATIも電動化するのでは?」
というのがこの記事の内容。
今はまだ「まさか」と思うことですが、まったくない話だとも言えないでしょう。
充電時間が長くで、急速充電もバッテリーの寿命を縮めるというのが電動車の泣き所。
それだけに、バッテリーを管理して常にフレッシュに保ってくれるステーションは、2輪4輪を問わず自動車業界全体が注目するインフラなのです。
画像出展元;Gogoro
スマホがそうだったように、やがてバッテリー交換式モビリティーは、バイクも車も、町の風景と緒一緒に変えていく「新たな常識」になると思います。
エコロジーの方向を疑う
世界が向かうモビリティーの電動化。
現段階、内燃機の音やに匂いに親しんできた我々には、ちょっと取っつき難い印象もありますね。
ひとつ気がかりなのは、電動化の背景となるエコロジーのあり方です。
実は筆者は、今年の8月に行われたバイクラブフォーラムに参加し、ヤマハ発動機の日高社長に直接お話を伺いました。
BLFでの日高社長と筆者
不躾にもこのとき筆者は、日高社長にある提案をさせていただいたのです。
『CO2を排出するのみに規制を課し、しかも影響の小さな50㏄にまでもそれが及んでいる環境規制の在り方は、まるで弱い者いじめのようです。
なので、バイクメーカーとしてはCO2を吸収する環境を守ることもする。
そのアピールとしてヤマハ発動機が森を植えるというのはどうでしょう?』
筆者はまるで明治天皇に直訴する田中正造 公のように満身創痍でしたが、日高社長はにっこりと笑顔でこうお話になりました。
「素晴らしいご提案です。実は既にヤマハ発動機では、楽器製造部門とともにインドネシアで植林活動に取り組んでいるんですよ、ご存知でしたか?
これはフォレストパートナーシップといって、現地に『ヤマハの森』を作り、植林を通して現地の子どもたちへの教育支援も行っているんです。
今後もそういった活動を通して、多方面に理解が深まることを期待しています。」
写真出展元;環境省フォレストパートナーシップHP
本来、地球規模の温暖化を語るなら、CO2は排出と吸収の両輪で考えられなければ意味がありません。
やっぱりさすがヤマハ、天晴です。
EV化を良しとしても、「地球環境を守るというのは、これまで培った内燃機の文化を単に放棄するだけではないはず。」
ヤマハのみならず、各メーカーがこうした取り組みに積極的に関わって、真のエコロジーの在り方をさらにさらに提唱していってほしいですね。
可能性は無限
ヤマハは住友商事ともタッグを組み、観光のためのシェアビーグルとして、年内にもこのシステムを石垣島に導入する予定です。
ただ、現状のままですと、日本では原付(50cc・125㏄)の規格にならないようで、このあたりをヤマハが調整していくのだといわれています。
このほか、KYMCO(台湾の二輪メーカー)や、ホンダも積極的にこの交換式バッテリースクーターの開発に乗り出しているところです。
特にホンダについては、インドネシアにおいてパナソニックと共同で今年末からバッテリー交換モビリティーの実証実験を行う計画を明らかにしています。
今でこそまだまだニュースの片隅のような小さな話題で、「スクーターの話?」と思う人も多いでしょう。
ですがこれは、相当な可能性に満ちたお話し。
いずれこのシステムが拡充していけば、その先は大型バイクはもちろん、乗用車ににとっても「当たり前」のシステムになっていくと思います。
「バッテリー交換式モビリティー」
このキーワードを胸に留めながら、今後の発展に注目しましょう!
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