ホンダがRVF1000と目されるV4スーパースポーツバイクを開発しているという噂。
2015年夏に商談開始された2190万円のRC213V-Sの廉価版として構想されているとされています。
すでに海外で特許を取得するために提出されたとされるかなり具体的な図面がネット上にリークしていますね。
モーターサイクルナビゲーターでも昨年初頭にこの話題をお伝えしています。
この記事からおおよそ一年、開発の進捗状況はどうなっているのでしょうか。
目次
ホンダ情報筋に訊いた「新型V4」の今
2017年のEICAMでDUCATIが新型V4スーパースポーツ、パニガーレV4を発表。
これを受けて、V4のいわば「老舗」であるHondaが、かねてから噂の有った「新型V4の開発に本腰を入れた」という噂も広まりました。
筆者自身も確かにパニガーレV4の登場は非常に良い呼び水だと思います。
かつてスーパーバイクシリーズやすずかの8耐で大暴れしていた ホンダV4.
パニガーレV4との一騎打ちも見てみたいものです。
実は筆者にはホンダの開発事情に大変詳しい友人がいて、ホンダの噂があるときには必ずこの方にお話を聞くことにしています。
彼には2015年の暮れごろからずっとこの新型V4について、新たな噂がある度に話を聞いていました。
彼の話を聞く限り、RC213V-Sの廉価版の噂は本当でホンダの中で「R段階(構想段階)にはある」
つまり、企画が確実にD(実行)段階に向けて考えられていることはかなり前から掴んでいました。
その後、ホンダV4のものとされるラフな海外パテント(特許)図面が流布されていき、2017年秋以降にはさらに具体的で詳細な図面を見ることができるようになります。
そうした状況から判断して、「なるほど、動いているんだな」と思い、いよいよ2018年の8耐ごろには何らかの形が見えてくるのではないかと筆者は予測していました。
パニガーレV4の登場がホンダの開発にどう影響しているのかも気になって、改めて彼に聞いてみることにしました。
「言える範囲で良いから教えて欲しい」というと、「正しくお伝えしたいので」という前置きがあり、翌日までにわざわざその「範囲内」をまとめて知らせてくれました。
彼によるとその内容は次の通り。
ちょっとショッキングな内容です。
まさか、そんな
何とも衝撃的でV4ファンには悲報です。
つまり、ネット上にもあったように、図面までできていたけれど、採算性などの方向からなんと開発そのものが見送られているというのです。
しかしながら、彼はもう一つの展望を示してくれました。
これはかなり驚きました。
これまでも彼のおかげで、ホンダ車に関しては発売数カ月前には噂の内容をある程度具体的に掴むことができ、いざ発売となるとその話の通りになっていました。
筆者にとって彼はとても信頼するHondaの情報筋です。
なのでホンダがSSをV4ではなく直4のCBRを進化させる方向で進む判断をしたということは今のところ間違いではないと思います。
商ベースとマシン開発
この新型V4は、噂通りRC213V-Sの廉価版ということからR段階がスタートしたようです。
あくまでRC213V-Sを視界に入れた開発を進める中で、商ベースを期待できる範疇にそれを収めるのは難しいということでしょう。
例えば4輪の話ですが、かつてホンダはあのS2000を4人乗りにして売り出す計画をしていて、図面までしっかりできていたんだそうです。
ただ、アルミボディーで少量生産をする中で、セールスと採算のバランスが難しいという判断でお蔵入りになったという話がありました。
ホンダの車やバイクはR(構想)段階で検討を重ねたものを、D(実装)段階に移して具現化し、それが商品となってが世に出てくるわけです。
しかし、こうして4人乗りのS2000のように、R段階の終盤までこぎつけていながら世に出ないものも少なからずあるのだと言います。
きっとバイクも「商品」として考えた中で、開発者が泣く泣くの状況で取り下げになるケースは今回だけではないようです。
それにしてももったいない話です。
やはり、かつて先述の彼に情報を求める中でも、(当時熊本の地震直後だったのも手伝って)「現状今後両ブランドを両立させるのは困難です」という話をしていました。
ライダーの分母が減少している状況で、既に平均価格が200万円を超えるスーパースポーツカテゴリ―。
RVFを加えたとすると、同一カテゴリーの中でCBRと両ブランドをレギュラー商品として採算をとるのは難しいと判断するのも無理もないお話です。
今のスーパースポーツバイクは市販状態で既にアルミやマグネシウムだけでなくチタンパーツまでもが奢られています。
例えばヤマハの場合、MT-10にR1のエンジンや車体構成を流用することで汎用性を高め、R1の価格を(あれでも)抑えています。
ホンダは今年、新型のCB1000を発売するわけですが、CBR1000RRのエンジンパーツを多く流用するものだと言われています。
ハイパーネイキットと呼ばれるカテゴリー。
この人気は世界的に盛り上りを見せていて、今メーカーはセールスの主体をSSからこのハイパーネイキットにシフトさせています。
スズキ・カワサキは少し違った形ですが、こうしたハイパーネイキットとの相関性も、市販スーパースポーツバイクのハイスペックぶりをキープさせるカギなのかもしれません。
ホンダのV4の場合は、RC213V-Sと相関させると誰も買えなくなり、かといって現行VFR800をスープアップさせたものでは誰も満足しない。
きっと図面までできていたはずの「RVF1000」は相当なハイスペックモデルだったに違いありません。
この論法が正しければ、1000㏄V4スーパースポーツをレギュラー商品とする場合、そのエンジンや車体を共有するハイパーネイキットが必要になる?ということになります.
しかし、ホンダはCB1000Rをこれから展開するわけです。
なので、やはりホンダはV4をレギュラーとせずに、CBR1000RR を進化させる方向だというのは堅実なのかもしれませんね。
CBRファンには朗報、V4を待つ人には悲報なわけで、返す返すもったいないと思います。
ホンダを深読みすればそれは…
これまで30余年にわたってバイク業界を眺めている中で、ホンダが表に出すお話しの中にはそれと覆ることが何度かありました。
例えば1992年にNR750発売されるまでの噂。
これも、あの楕円ピストンを積んだバイクをホンダが市販するという噂が随分長い間流れていました。
しかも、当時複数のバイク誌の記者が色々聞いても、ホンダからは「そんなものは発売しない」といった内容のコメントを続けていたのです。
しかし、結果は誰もが知る通り。
バブルだったからできたバイクでもありましたが、520万円というお値段で限定発売されると即完売に。
心変わりか、裏腹なのか、それで結局楽しませてくれるのが、ホンダという会社だと筆者は昔から思っています。
値段の話をすれば、今のCBR250RR.
実はこのバイクの発売のかなり前から情報筋の彼に、日本仕様がライバル車よりとびぬけた70万円オーバーになることは聞いていました。
そして発売されるとその通りで、当時「誰が買うんだこんな高い250」とネット上では揶揄する声も多かったように記憶しています。
しかしどうでしょう、そのセールスはそんな声をはねのけるように好調なものですよね。
もう一つ言えば、VFRやRVFが8耐で大暴れしている時代、CBR1000はちょっとモッサリしたツーリングバイクでした。
その後のCBR900FBが900だったのも、レーサーとしてのVFR750と食い合わないようにするため。
しかし今、その役割は逆転し、VFRといえば大人のツアラーですよね。
多分大学生くらいの若い人に聞いたならその印象しかないかもしれません。
これはあくまで筆者の憶測ですが、平成が終わるまでに、VFRとCBRはその役割を「交代」するのではないか?
そう考えるとCBRファンの方はどう思うかですが、やはりDUCATIがああなった今。
思い切って250をあの値段で出して好セールスに導けるホンダさん。
「同一カテゴリーに一つしか」というのであれば、ココはV4を立てるのが思い切りどころだと思うのですがどうでしょう。
実はヤマハライダーな筆者でも、DUCATIとホンダのV4ツートップの並びは見たいと思います。
ましてや図面まであったと噂の新型RVF1000。
「技術的な問題ではなく…」というなら社内でだれかが首を縦に振るか振らないかくらいなところまで行っているのでしょう。
きっとこれはNR750の時と同じ「隠し玉」。
やっぱり8耐までに、遅くとも次もEICMAまでには、
「V4で何かやってくれる」
そう信じてホンダの新型V4について筆者は、これまで通りの予測を変えないでおくことにします。