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寒い冬。バイクは大丈夫?
バイク乗りにとってもっとも厳しい冬がやってきました。
降雪の多い地域にお住まいの方は、
もうそろそろ愛車を寝かせたいと考えておられる方も多いのではないでしょうか。
しかし、ただ寝かせておくだけでは始動できなくなるほど厄介なことになるのもしばしば。
バイクを良好な状態で保管するにはどうするといいのか、
多くのバイクを取り扱う整備のプロにポイントを教えて頂きました。
保管の前にまずはオイル交換! 始動性がまるで違います
バイクを上手に寝かせることの手始めは、「オイル交換」がキーポイントです。
(どうせ冬場は乗らないんだし、春になったからでもいいのでは?)と思われる方が多いと思いますが、
古くなったオイルには汚れとともに微量の水分が含まれることになります。
スラッジ(汚れ)と水分を含んだままのオイルでは、
そのまま寝かせてしまうとクランケース底部へ沈殿し、そのまま定着してしまう恐れがあります。
水分は蒸発することで気体となり、エンジン内の湿度を上げてしまい錆の原因となってしまいます。
これを予防するためにも、保管の前にはオイル交換を行っておくことが大切です。
と言ってもこの場合は寝かせておくための交換ですので、
普段お使いの高品質のオイルを使用する必要はありません。
バイク用であれば低粘度のホンダ・ウルトラG1などの安いオイルで十分ですので、
しっかりと入れ替えておきましょう。
これだけで春のエンジン始動性が全く別物となります。
春を迎えた際にはアイドリングを行ってエンジン内の汚れをオイルに吸着させ、
十分温まった頃合を見計らって普段お使いのエンジンオイルと交換すれば万全です。
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コンディション維持にはガソリンを完全に抜いて満タンにすると効果的
次に行っておきたいことは、ガソリンの入れ替え作業です。
まずがガソリンタンクの燃料コックをoffにした上で、
エンジンに火を入れてアイドリングを行いましょう。
しばらくアイドリングを続けているうち、
コックをoffにしたことで自然にエンジンが停止するのを待つだけです。
キャブ車の場合はさらにフロートのネジをゆるめ、
キャブ内に残ったガソリンを除去しておくとよいでしょう。
その後はガソリンをタンク容量一杯まで満タンにし、
タンク内の結露を防ぎます。
一度ガソリンを抜いてタンクキャップを空けたまま一日ほど置いておけば、
いい具合にタンク内の水分が消えて乾燥しますので、時間の余裕があればこちらもおすすめです。
バッテリーの消耗を防ごう! 電極から取り外してしっかり保管を
バイクの長期保管で多い悩みと言えば、
始動させたいときにバッテリーが放電し尽くしてしまっている、
というものが挙げられます。
これはバッテリーが元々「蓄電池」という消耗品であるためですが、
電極から離して安置することで消耗を抑えることが出来ます。
自己放電による電力の低下は避けようがありませんが、
1シーズンの保管であれば問題ないレベルを保つことが可能です。
高価なモデルを屋外で保管する場合は、
防犯の関係上イモビライザーなどのためにも外すべきではありませんが、
屋内保管なら状況次第では外しておいた方がよいと言えるでしょう。
バッテリーをしっかり取り外せたら、
しっかり補充電をしておくと飛躍的にバッテリー寿命を延ばすことが出来ます。
4輪車にも使えるし、バッテリー充電器は必需品でしょう。
1度買えば長く使える代物なのでしっかりとした充電器を選びましょう。
駆動系も忘れずケアを! チェーン・ベアリング部にはグリスアップを
意外に忘れられがちなのが、チェーン・ベアリングなど駆動系に関する箇所のケアです。
チェーンの劣化はバイクにとって致命的ですので、交換に気を配るのは当然ですが、
そのまま長期保管に入るとスプロケットなど他の箇所まで影響を及ぼすこともあります。
これを避けるためにはスプレータイムの洗浄液で古いグリスを除去し、
新しいグリスでグリスアップしてやるだけでも十分です。
おなじみのこいつでしっかりチェーンケア!
もしチェーンの劣化が目立つようになっていれば、同サイズのチェーンを購入して確保した上で、
春先の始動前に装着するつもりでチェーンを外しておいた方が効果的です。
厳寒地帯は特に要注意! 保管前にはクーラントを抜いておこう!
北海道や東北など、厳寒地帯での長期保管時に気をつけたいのは、クーラントの凍結です。
クーラントが凍結を起こした場合、凍結箇所の変形を伴う可能性が高いため、
かなり大きな負担を強いられることになります。
クーラントはオイルのように粘度のあるものではありませんので、
オイル交換とガソリン抜きの後は忘れずに抜いておきましょう。
クーラントも信頼のブランドかつお得な物を選びましょう。
愛車のボディにもご注意を! 防錆にはエンジンオイル塗布が効果的
1シーズンだけの保管であればそこまで錆がひどくなることはありませんが、
メッキパーツやガソリンタンク、マフラーにサスペンションといった箇所はケアしておきたい重要ポイントです。
用意するものは古新聞と霧吹き、塗布用の安価なエンジンオイルが500mlもあれば十分です。
まずは古新聞を保管予定場所に敷き詰め、バイクをその上に移動させてセンタースタンドをかけてください。
サイドのみの場合はそのままで結構ですが、
長期間タイヤの同じ箇所に負荷がかかるのは耐久性の面ではあまりよくないので、
負担を少しでも和らげるのが狙いです。
移動後はマフラーの排気口に古新聞を詰め、水分がエキパイ内部から錆を発生するのを防ぎます。
下準備が出来れば、霧吹きに100ml程度のエンジンオイルを入れてガソリンタンクの表面に散布し、
油膜による保護を行っていきます。
散布後はまんべんなく塗布されているかを確認し、
露出箇所があれば脱脂綿などで伸ばしていくとよいでしょう。
その後はサスペンションやマフラーなど、錆の発生しやすい箇所にもまんべんなく散布し、
同様の手順でケアしていきます。
最後の仕上げはバイクカバー! しっかり愛車を覆って保護を!
ここまで行えば、冬が過ぎた後もコンディションには影響がない状態で即座に乗り出しが可能となりますが、
万全を期するならバイクカバーもかけておきましょう。
エンジンオイルの塗布を行った場合はオイルの付着がありますので、
内がけ用に自転車用などの安価なビニールカバーをかけてその上からバイクカバーを被せていきましょう。
屋内保管であればそこまで大きな劣化とはなりませんが、
厳寒地や寒暖差の激しい地域ではオイルシールなどの劣化を防ぐ効果大です。
まとめ
中古バイクショップで、日々多くのバイクを扱うプロの方のテクニックをご紹介させて頂きました。
即商品として売れるだけのケアを行うとあり、実に理に適ったケアテクニックです。
特に旧車の場合は以前の状態を維持するだけでも労力が必要ですので、
寝かせる前には余裕を持って準備をしておきたいところですね。
大事な愛車を大事に寝かせるため、もう一手間を惜しまないことが長期保管のポイントと言えるでしょう。
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