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Kawasaki KLX230開発陣による説明会に参加!メ-カーの狙いどころは?

早くも高まるKLX230R/KLX230への期待

長く愛されてながらも、惜しまれつつラインナップからその名が消えたKawasakiの「KLX」シリーズ。

その復活を待ち望む声に応えるように、KawasakiはオフロードモデルのKLX230Rと2019年10月1日に、そしてその公道モデルとなるKLX230を2019年10月15日に国内に向けて販売する予定です。

空冷SOHC単気筒232ccという手ごろなサイズでの復活。

ビギナーライダーはもとより、とことんバイクで遊んでみたいというベテランライダーの間でも、その期待値は高まっているようです。

KLX230の発売を前に、Kawasakiはメディアを対象とした商品説明会と試乗会を開催。

今回は試乗会の前日に行われたKLX230/KLX230Rの説明会で、開発陣が語ったマシンの方向性をお伝えしていくことにします。

開発陣が語るKLX230とは

説明会はでは開発陣から開発コンセプトやデザイン・技術説明などが行われ、メデイアから様々な質問が飛びました。

デザインのポイントは「ロングシュラウドの採用」

スタイリングの方向性などについて、デザイン担当の小林稔さんが説明されました。


技術本部 デザイン部 スタイリング課 デザイナーの小林稔さん

今回のKLX230R/KLX230のデザインのポイントはロングシュラウドの採用です。


これは2016年モデルのKXから続くKawasakiのライムグリーンオフロードバイクのアイコン。

ライダーの移動範囲に継ぎ目を無くしたことで、オフロード走行での着座姿勢からのスタンディング、そして前後左右の体重移動をストレスなく行えるという機能性に配慮したものです。

上下分割式のタンクや、オフ車では珍しいアプレーンタイプのキャップと合わせ、


外見もモトクロッサーライクな水平基調のスリムかつコンパクトな車体を実現することができました。

さらにKLX230においてはKLX230Rよりも若干シート高を落としながら幅を広くするなど、公道の汎用的な使用での扱いやすさを考慮しています。

共通する面の多い両車ですが、実写を見比べて並べてみるといろいろな違いが分かってこの辺も面白いところです。

またKLX230のタンデムシートには、通常のオフロードバイクよりも幅と厚みを持たせた形状にしています。


これはタンデムでの使用が多い生産国インドネシアの使用状況を見てのものですが、タンデムステップの位置もパッセンジャーに考慮したものにしているので、実用面でかなり有利です。

さらに、オプションパーツについても今回新たに専用品として用意しました。

特にETC車載機ケースはキャリアと一体型とするなど、新たなアイディアを盛り込んだ点です。

オプション装着車を見て、「なるほど、その手があったか」と感心した部分ですね。

オフロードでのファンライドを様々なスキルのライダーに提案したい

今回250ではなく230という中間排気量が選択された点も興味深いわけですが、その点についてはプロジェクトリーダー(PL)の和田さんが非常に興味深いお話をされています。


技術本部 第二設計部 第三課 課長で今回両車のPLを務める和田浩行さん

このバイクの着想は生産国であるインドネシアなどのアジア市場にありました。

現在、インドネシアやタイでは150㏄クラスが非常に受けていて、しかもオフロードがブーム。

おかげさまで、現地で販売しているKLX150は大変なヒット商品になっています。

その中で最近、現地からは「もう少し走破性のあるバイクを」という声が多く聞かれるようになりました。

しかし、新規250ではどうしても売価が高価になりがちです。

そこで我々としては「彼ら手に届きやすい安価な価格で、KLX150よりも走行性のあるバイクを」という点を重視し、この中間排気量の軽快性を優位と見ました。


この時代にあえて空冷を新造したのも、そのためで、メンテナンスのしやすさの面からもこれをサポートできるものと考えています。

世界の市場とも相談し、早い段階から日本への導入を検討していたのですが、こうしたアジアでの着想は、我々の強い気持ちに合致するもの。

オフロードのファンライディングを、より幅広い層のライダーに提案したいという願いがこの商品には込められています。

また今回のデザインに関し、小型のLEDではなくあえて大き目なハロゲンライトが採用されたことについて特に多くのメディアから質問が飛びました。


実はこのライトについては、社内でも甲乙様々な討論がなされました。

確かに「LEDで」ということも検討されましたが、転倒などで破損した際に手に入りやすいハロゲン球の方が良いという判断を優先。

また、アジアの夜は非常に暗く、しっかりとした光量を確保する必要があり、実用性求め易い売価を優先してこのデザインに落ち着きました。

やはり今後は、若い世代にバイクの楽しさを提案していくというのは大切なこと。

特に、普段使いやツーリングで使いやすいことも重要ですが、安価で手軽なオフ車で「バイクで遊ぶ」ことを提案するという開発陣の姿勢に、私は拍手を送りたいですね。

KLX230/KLX230Rの乗り味は?

親しみやすく、遊び込める感覚を重視したKLX230/KLX230R。

両車の性能面やマシンキャラクターについて、開発担当の城崎孝浩さんが説明されました。


技術本部第一設計部で今回エンジン設計を担当された城崎孝浩さん

今回のKLX230/KLX230Rでは、232㏄という中間排気量を選んだことで、50㏄と250㏄のいいとこどりをしたような、軽快な操作性を楽しむことができます。

乗ってみるとやはりコンパクトな車体のおかげで、見た目よりもさらに小さく感じますね。

また、エンジンは、ほぼスクエアに近いロングストロークエンジン。
(67.0mm×66.0mm/ 9.4:1)

低中速においてスっと立ち上がる素直な特性になっているので、ビギナーの方にも扱いやすいものに仕上がっています。

また、ミッションはこのクラスとしては珍しい6速ミッションを採用しました。

軽量化の部分で採用を迷う点でしたが、今回はエンジンを回していった時の振動やストレス感を無くすことで、使い勝手と親しみやすさを優先したところです。

走行性能に関連する質問が飛び、和田PLがさらに詳しく説明されました

両車の開発に当たっては、しっかりとしたオフ性能を持つバイクこそがファンライドを提案するバイクとしてあるべき姿と考え、230Rの開発を若干先行して行いました。

先にKLX230Rでオフロードのヘビーユースをテストし、それをストリートモデルのKLX230に落とし込んでいった形になります。

まず、KLX230Rはアメリカ市場でのファンライドを意識して開発しました。

購買ターゲットとして我々が想定しているのはKXユーザーです。

両車とも、テストライダーはもちろん上級者ですが、「ファンライドの提案」という視点からテストに当たっては、ビギナーが乗ることを意識しながら開発を進めました。

KLX230Rにおいてはバランサーを搭載せず、オフロード走行におけるアグレッシブさをダイレクトに感じてもらえるキャラクターになっています。

また、ビギナーを考慮したデュアルパーパス車をシンプルな空冷エンジンで実現させるにあたり、公道で気になるのは振動の問題。

ですので、公道向けのKLX230にはバランサーを搭載して快適性を確保し、それぞれのキャラクターを見極めながら造り込みました。

テストライダーからは癖のない素直さを表して、「Kawasakiらしからぬ(癖のない)優等生なエンジン」と言われましたね。(笑)

加えて、昨年からABSが義務化されたのに伴い、今回はロードモデルのKLX230にはセンシングを含めBOCSH社と共同開発したABSを採用しています。

今回はABSの介入をあえて遅くするこでタイヤのグリップをできるだけ使う方向で造りこんでいます。

結果としてオフロードでの楽しみ方を邪魔することがない、非常にバランスの取れたブレーキが完成し、安全性を上げることができました。

これは部品点数を増やすことなく軽量化し、売価を抑えることにも貢献し、ビギナーのオフロード走行とって有意なものとなっています。

今後乗り味を試すにあたり、これらはよく覚えておきたいところですね。

モーターサイクルナビゲーターからの質問

今回、モーターサイクルナビゲーターからもいくつか質問を投げかけてみました。

恐らくこれらは多くの方が気にされている点かもしれませんね。

「ヤマハセロー250をライバルとして意識されましたか?」


価格帯や車格の面で、どうしてもそこは比較されることは予測していましたが、今回我々は他社製品との比較を全く行っていません。

比較をしていないので正確ではないかもしれませんが、セローの場合はトレッキングを意識したバイクだと承知しています。

KLX230は、オフロードのファンライドを提案するものとして純粋にその姿を追い求めたもので、シート高を885㎜とあえて高めに設定している点について質問もあったのですが、これも操る楽しみを味わっていただくためのものです。

少しづつペースを上げながらスキルアップすることを楽しんでもらいたいんですよね。

そういった意味で、KLX230は他車とは趣の違うバイクになっているのではないかと思います。

おっしゃるように、セローの場合はスタックした際に足をついて前に進むことを考慮した「2輪2足」のトレッキングバイクで、全般的にゆったりした乗り味も魅力でした。

KLX230の場合はこのお話から、オフロードでのエキサイトメントを手軽に味わえるバイクであることが予見できますね。

「このモデルからの派生モデルは考えていますか?」

例えばヤマハのMTシリーズのように、一つのモデルを複数のモデルに発展させたりすることは最近他のメーカーでも多く見られること。

そういったプラットフォーム的な展開や、KLXシリーズとして他の排気量への展開構想があるのかをうかがってみました。

今後の展開ですか?

うーん、それは答えられません。(笑)

しかし、他社さんもアドベンチャー系のモデルに力を入れているところなので、個人的にそういった展開があればいいなとは思います。

ですがそれは、このモデルの反応次第ですね。

以前、KLX125ではモタードも用意されていたので、手始めにその辺は期待したいところですが、「オフの楽しみを提案」と彼らが熱く語っていることから、それも暫くはないのかもしれませんね。

まとめ

今回、全てを新造パーツで構成したことについて和田PLは、

オールニュー、これが今あるべきデュアルパーパスの形」です。

と語気を強められました。

また、開発陣のお話では、

「オフロードの楽しさを提案する」

というフレーズが何度も使われました。

安価に抑えつつ、求められる軽量性や走破性とバランスをとっていく。

これはとても大変なことです。

実車を見ても安っぽさを感じることはなく、彼らの意気込みは相当なもだと改めて思いました。


後日行われた試乗会終了後にも、お三方にお話を伺う機会をいただき、今回は説明会の内容に、その時のお話をプラスして構成しています。

「バイクをもっと親しみやすいものにしたい。」

「かつて親しまれていたオフバイクの楽しみ方を再興したい。」

そんな風に熱く語るお三方の話は楽しく、立ち話のバイク談義でしたがついつい長居をしてしましました。

確かにいつの間にかバイクは大きくて高価なものになり、乗りても相当に少なくなりましたね。

そんな今、バイクの楽しさを改めて世に提案するKLX230の出現は、ビギナーはもちろん、長くバイクに親しんできた経年ライダーにとってもありがたい存在なのではないでしょうか。

KLX230Rは(10%消費税込)51万7000円、KLX230は同じく49万5000円での発売です。

さて、静岡県のイーハトーブの森で行われたKLX230の試乗会では、ダート音痴な私が

「もしKXL230で経年ライダーがリターンしたら?」

をテーマに試乗に臨みました。

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取材協力;株式会社カワサキモータースジャパン

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