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早く乗りたいTénéré 700!
ヤマハのEUサイトにおいて、2019年3月27日から7月31日までの限定で予約受付が行われているTénéré(テネレ) 700。
このWEB受付分は7月からオーナーのもとに供給され、さらに9月からはEU圏内で一般店頭販売が開始される予定です。
ヤマハは2016年にミラノ国際モーターサイクルショー(以下EICMA)において、プロトタイプモデル、「T-7コンセプト」を発表、
T-7コンセプト↑
翌年2017年のEICMAでは、より市販状態に近いと言われるTénéré700ワールドレイドプロトタイプが発表し、発売もいよいよかと期待されていました。
Ténéré700ワールドレイドプロトタイプ↑
しかし、生産ラインの確保等々が遅れているという噂もあり、市販のアナウンスは昨年(2018年)のEICMAまでずれ込みます。
今のところ「EU圏内だけのWEB先行販売のみ」というのもじれったい感じがしますが、それだけに「出たら欲しい!」と待ち続けている方は日本にも多いはず。
実は私もその一人だったりします。
というわけで今回は、このTénéré700の詳細を見ながら、日本での発売価格や、気になる発売時期について考えていきます。
MT-07エンジンのライトウウェイトアドベンチャー
Ténéré 700が待望される最も大きな理由は、MT-07のCP2エンジンを搭載していること。
パリダカマシンにルーツを持つ、270°相違クランク689㏄のパラレルツインエンジンは、スムースかつトラクションの良さが信条。
小気味よいパルス感と共に、低回転から淀みなくふけ上がるエンジンで、その従順なキャラクターは世界中の多くのライダーから支持を集めています。
Ténéré 700ではこのエンジンを採用し、専用に最適化されたミッションを使用。
軽量で扱いやすいコントローラブルなエンジンが、林道ツーリングでどんな乗り味を与えてくれるのか、考えただけでもワクワクしてきますね。
外観から予見される「頼もしく豊かな走り」
そんなクロスプレーン思想CP2エンジンを包むのは、
中空鋼管製のダブルクレードルフレーム。
装着タイヤはピレリのスコーピオンラリーSTR。
これを履くフロント21インチ、リア18インチの間のホイールベースは1,455mmのショートなものになっています。
いかにも頑丈そうなスキットガードの下の最低地上高は240mm。
43mm径の倒立フォークは210mmのトラベル(ストローク)量があり、リアサスのトラベル量も200mmと十分。
リモートアジャスターは、例えば高速道路を使ってダートコースに乗りつけ、さらにそこからツーリングを続行させるというハードな走りにも対応できる上、積載時の姿勢を保つ上でも便利です。
既にこれらの車体構成からは、ライトウウェイトアドベンチャーとしてライダーに幅広いフィールドでエキサイトメントを与えてくれるような、豊かなコントロール性を予見できます。
「その気」にさせるラリースタイル
4灯のLEDを備える「顔」はやはりいかにも新時代のマシンと言った独特な個性を放っていますね。
後ろから見たハンドル周りはさながらラリーマシンを思わせる雰囲気。
警告灯やタコメーターが縦型に配置されているのが、いかにもアドベンチャーという感じです。
なお、前後ABSを備えるブレーキは後輪を選択式とし、スイッチをオフにすれば、オフロードでのスライドコントロールを豪快に楽しむことも可能。
近年、このクラスのオフロードマシンには多く見られるリアブレーキのABSキャンセル機構ですが、やはりチャレンジングなライダーの意思を阻害しない配慮は嬉しいですね。
タンク容量16リットルにして約350㎞もの航続距離を実現しているとのこと。
880mmのシート高を持つフラットシートは、そのロングディスタンスに耐えるべく腿周りをタンクと共にスリムなものとし、
スタンディングの際や、前後に体重移動を伴うマシンコントロールでのフィット感を配慮したものになっています。
こうしてリアから見てみても、やはり乗り易そうなディメンションですね。
テールランプのデザインもスタイリッシュに良くまとまっていると思います。
また、先述のTénéré700ワールドレイドプロトタイプでは、アクラポビッチ製だったサイレンサーは純正のマットブラックのものに。
でも、全体のデザインにマッチしていて良い形ですね。
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カラーバリエーションは3色
現在ヤマハEUサイトに案内されているTénéré 700のカラーバリエーションは以下の3色。
セラミックアイス↑
テックブラック↑
コンペティションホワイト↑
どの色もなかなかいですねぇ。
私個人としては、カタログカラーのセラミックアイスに新しさを感じます。
気になる価格や発売時期は?
秋の増税が気になるところですが、日本で発売されたときの値段は気になりますよね。
発売価格はいくら?
現在、ヤマハEUサイトで案内されているTénéré 700の価格は、£8,399.00~。
2019年5月20日現在のレートですと、おおよそ1,176,000円程度。
大体このくらいの値段で、オンからオフまで幅広く楽しめるのであれば、触手が動かないでもないですね。
その他2つのパッケージングが用意される
前項の価格が£8,399.00~となっていたのには理由があります。
実は9月の一般発売では、
- エクスプローラーパック
- ラリーパック
という2種類のオプションパッケージグレードが用意される予定。
セローで言うなら、セローとセローツーリングの様な関係ですね。
Explorer Pack
こちらがTénéré 700エクスプローラーパック。
写真では車体色がブラックなのでわかりずらいところですが、
このようにいかにも頑強そうなエンジンガードを備えていて、
スタンダードよりも33%も厚さを増し、カバー範囲を大幅に広めたスキットガードが目立ちます。
また左右それぞれに37リットル、計74リットルという大容量のキー付きサイドケースを備えているのがまずわかりやすい違い。
これらに加え、タンデムシートに変えてさらに積載量を増すことができる、モノシートラックも装着されています。
そして、積載量が増えてもマシンをしっかりと安定させることができるよう、
かなり頑丈そうなメインスタンドもついてきます。
ポンドでこれらのパーツを見積もると、
パッケージ内容 | £(ポンド) | 円換算※ |
エンジンガード | £213.58 | 約30,000円 |
サイドケース右 | £43213.95 | 約49,000円 |
サイドケース左 | £308.75 | 約43,500円 |
サイドケースステー | £221.81 | 約31,050円 |
ケース用キーセット | £24.20×2 | 約3,400×2= 約6,800円 |
メインスタンド | £194.54 | 約27,230円 |
※表記は2019年5月20日現在のレートをおおよそ四捨五入したものとしています。
このほか、EUサイトにはモノシートラックの値段が詳しく載っていないのでわかりませんが、これは恐らく高くても2万円くらいと予想。
これらの予想を含め、単純に計算すると約20万7580円のパッケージング。
恐らくエクスプローラーパックの価格は、車両価格にこれ位の金額を上乗せした価格になるのかもしれません。
いずれにしても、このタフなパッケージング内容はTénéré 700のアドベンチャー力を高めるのに大変魅力的なものだと思います。
Rally Pack
一方のTénéré 700リーパッケージがこちら。
ロングツーリングでの性能を追求したエクスプローラーパックとは方向性が異なり、スポーツ性を求めたパッケージングになっています。
一見してわかりやすいのはアクラポビッチのチタンスリップオンサイレンサー。
よく見るとテールエンド部にはTénéré 700のロゴもあしらわれていて、かなりスタイリッシュなものになっています。
また角度を変えるとわかりやすいのですが、
シュラウドにはラジエーターの保護のため、ラジエータープロテクターを装備。
そして、リア周りに目をやると、
チェーンガードをアルミ製のものに変更。
さらに、スタンダードにはないチェーンガイドも追加さえれています。
そしてシートも、内腿部でしっかりとマシンをホールドできるように、サイドの表皮をスウェードタイプにしてハイシート化したラリーシートを装着。
また、写真では見えないのですが、タンクには、スタンディング時のコントロール性にも寄与する、
「アドベンチャータンクパッド」も装着されています。
さらに、ウィンカーをスタイリッシュなLEDに変更。
ナンバーステーも細身のタイプに変えられています。
このテールに「Ténéré 」のロゴがバシッと入っていてなかなかかっこいいですね。
以上のパッケージ内容を、先ほどと同じように計算していくと、
£(ポンド) | 円換算※ | |
アクラポビッチ・ チタンスリップオン サイレンサー |
£847.94 | 120,000円 |
ラジエータープロテクター | £99.07 | 14,000円 |
チェーンガード | £85.45 | 12,000円 |
ラリーシート | £300.08 | 42,000円 |
タンクパッド | £19.00 | 2700円 |
LEDウィンカー (左右セット) |
£57.00×2 | 8,000円×2 |
ナンバーステー | £105.71 | 15,000円 |
※2019年5月20日現在のレートにおよそ四捨五入したものになっています。
このほかチェーンガイドの値段が載っていなかったので正確にはわかりませんが、それを12,000円くらいだとすると単純計算でおよそ23万1,000円くらいのUPになりそうです。
軽快に遊ぶならラリーパック。
距離を楽しむならエクスプローラーパックといったところ。
でもどちらも内容がいいだけに、オーナーになるとすれば、これは相当に悩むことになりそうですね。
今回はこれらのオプションパッケージが用意されているわけですが、EU圏ではほかにも多数のアイテムが用意されており、眺めるだけでもなかなか楽しい内容になっていますよ。
発売時期は?
先述の通りTénéré 700は、EUでWEBによる受注生産先行して行われおり、9月から一般発売が開始される予定です。
今年10月後半には東京モーターショーも開催されますから、日本で発売スケジュールが発表されるのはこのあたり。
ここ数年、来春発表モデルを本社に併設するヤマハコミュニケーションプラザに先行展示しているので、
2018年12月、発売前に先行展示されたインドネシア仕様のYZF-R25↑
今年の12月末にはここに飾られ、2020年3月中旬には発売となるというのが私の予想です。
ただ、NIKEN GTが日本発売となった際も、EUで標準装備となるサイドケースが日本では別売オプションの扱いになったりしていたので、日本ではアクセサリーの内容も違ってくる可能性もありますね。
いずれにしても、今は「旅+バイク」の時代。
SSTR〔サンライズサンセットラリー〕などに、地平のかなたに夢を抱くライダーに待望の一台になることは、間違いなさそうです。
映像参照元;yamaha-motor.eu
Ténéré 700諸元表
全長 (mm) | 2,365 |
---|---|
全幅 (mm) | 915 |
全高 (mm) | 1,455 |
軸間距離 (mm) |
1,590 |
最低地上高 (mm) | 240 |
シート高 (mm) |
880 |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ 並列2筒 |
排気量 (cc) | 689 |
内径×行程 (mm) |
80.0×68.6 |
圧縮比 | 11.5 |
最高出力 | 54kw(73ps)/9,000rpm |
最大トルク | 68N・m/6,500rpm |
燃料タンク 容量 (L) |
16 |
タイヤサイズ(F) | 90/90R21 (54vラジアル) |
タイヤサイズ(R) | 150/70R18 (70vラジアル) |