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他の原稿を放置して緊急執筆!
皆さんこんにちは、編集長の山本です。
報道等で既にご承知のように、滋賀県大津市の交差点で、お外遊びに行く途中の園児の列に右直事故を起こした乗用車が突っ込み、幼い命が失われててしまいました。
まずは、亡くなられた御霊に哀悼の意を表します。
そして、けがをされた方、メンタルに大きなダメージを負ってしまわれた方々の上に仮にでも早く平穏が訪れることを願ってやみません。
私もかつて学童保育の指導員だったことがあります。
引率者として野外引率のあの緊張感を思うとき、会見での園長先生の号泣に私も激しく涙し、いたたまれない気持ちでいっぱいです。
そんな気持ちの末、一介のモーターサイクルジャーナリストとして、同種の事故を防ぐために何かできないかと思うに至り、今回は私なりの緊急提言をさせていただきます。
早急の課題は、「同種の事故を防ぐために何を見直すのか」?
保育上の責任を問う報道も観られてますね。
また、それらが悪者捜しをしてつるし上げて叩く因習だとして、その報道の道徳を問う議論も巻き起こっています。
ですが、この稿はいずれのものでもないことを初めにお伝えしておきます。
私がこの稿の使命としたのは、ライダー・運転者、そして子を持つ親の立場から同種の事故を二度と起こさないための注意喚起、それ一点です。
さて、この悲しい一件を経て、早速保育現場では、お散歩のコースの在り方や、普段の引率の方法などについて再検討が行われていると聞きます。
また、事故の現場には既に車の進入を防ぐバリアが新たに設けられ、決まり事やハードの面についての早急な見直しがに行われているそうです。
これらはとても素晴らしいこと。
ですが、たとえ保育現場や道路管理事務所、加えて自動車に関連する企業すべてが現状の検証をしたところで、同種の事故は起きてしまうかもしれません。
なぜなら、最も見直し・検証が必要なのは、「バイク・車を日々動かしてしている我々運転者の運転」に他ならないからです。
クルマやバイクをいつでも止められる態勢で走っていますか?
私は先述のように、子どもと関わる仕事もしていましたが、ある時はレンタカー会社に籍を置いていました。
つまり、人が起こす事故というものに、一般の方々よりも多く接してきたわけです。
皆さんはレンタカーで事故があった際、貸し渡しスタッフがどうなるかご存知ですか?
お客様事故があると、レンタカー会社では、
「お客様への案内上の不備がなかったか?」
など、カウンターで貸し渡しを担当したスタッフの対応が画像・音声でチェックされます。
もし、案内の中で言い落したことが事故につながっているとされた場合、スタッフには減俸、営業所にもかなりのペナルティーが及ぶ。
それほど、責任を問われるわけです。
そして、事故時にはもう一つのチェックがあります。
レンタカーには、全車ドライブレコーダーが装着されていますので、その映像をもとに事故の内容を詳細に解析し、貸し渡しスタッフの責任の有無を見極めるのです。
おかげで私も様々な事故をモニターすることになりました。
多かったのは、まっすぐ速度を落とさずにまっすぐぶつかっていくような事故〔映像〕。
ドラレコ映像ではそう見えるんですが、これは明らかに運転者の前方不注意であったり、中には「キャー!」と悲鳴を上げたきり、ハンドルから手を離してしまう方もいました。
びっくりするのは、事故後に「お宅の車が止まらなかった、ちゃんと整備しているのか」と車のせいにする人がいること。
しかも、これが1人や2人ではないんです。
その点についてお伝えすると、レンタカーの法定点検は3カ月に一度。
6カ月に一度法定点検を受ける一般車の2倍のサイクルで点検を行い、さらに新車から(私が元いた会社の場合)2年以上使用する車はありません。
もちろん、全車ABS装備。
端的に言えば、
とっさの動作を想定して運転していたのかどうか?
この点がしっかりしているだけでも、確実に防げた事故というのは多かったものと思います。
「安全運転」そして「気を付けてね」の言葉の意味を、分かっているつもりで軽視していないか?
報道は、今回大津の事故で、右直事故を起こした双方のドライバーが「前方をよく見ていなかった」と話している、と伝えています。
また現場にはブレーキを掛けた形跡がなく、弾みを受けた車は数秒のうちに園児の列に突進。
園児たちに逃げる暇がなかったと聞いています。
突き詰めて言えば、「緊急時に確実に止まる」という想定が運転者になかったのではないかと思うのです。
その為に、
- 自分の車はどういうタイミングでどれだけの強さのブレーキをかければ止まってくれるのか?
- 天候や路面の変化でそれらがどう変わっていて、どのように対処すればよいのか?
- また、時々刻々と変化する状況に応じて、突発的な回避が可能な余裕を残した運転ができているかどうか?
- もっと言えば、いつでも止まれる態勢にあったか?
少なくともこの4点ができているのかどうか、2輪4輪のいずれを問わず、私たち運転者は早急にセルフチェックを行う必要があるのではないでしょうか?
「そんなことわかってるし、できるに決まってんだろ?」
多くの人がそう思うかもしれません。
しかし、たとえそう思ったとしても、
「自分の車やバイクを、いつなんどきでも安全に、そして確実に止められるのかどうか?」
それを一人でも多くのライダー・ドライバーが再度見直していくことが、今回亡くなられた小さな命への弔いになるのだと思います。
まとめ
モーターサイクルジャーナリストの柏先生は、ブレーキを使い切りながら、バイクの安定した姿勢作りの方法を体得することに始まり、安全な運転をクリエイティブに楽しむ事を提唱しています。
この稿は、先生が実際のツーリングを行いながら行う「ツーリングレッスン」の模様をお伝えし、安全な走りを楽しむための一塩となるレシピをご紹介するものです。
今回の事故が起きた時、私はちょうど上記記事の原稿を柏秀樹先生にご監修を頂いているところでした。
安全について考えている最中に起きたとても悲しい事故。
何ともやるせない思いがします。
しかしながら、未だにスリリングな運転を楽しむライダーがいることも事実。
バイクは同種の事故の当事者になることも十分に考えられますので、今一度考えを改める時期に来ているのではないでしょうか?
なので、特にバイクに関しては、
- 「気を付けてね」と言われたときの「気を付ける」とは何か?
- 「安全運転」とはどういう運転なのか?
せめてこの2点を具体的に考え直していいただければと思います。
亡くなってしまった小さな命は、残念ですがもう戻ることはありません。
ですが、私たちの運転を改めて見直すことで、今後命が失われることを防ぐことはできるはず。
いつでも止まれて、緊急回避できること。
その為の技術・心構えが今、皆さんの運転の中で、いつでも引き出せるようになっているか?
ココが重要な見直しポイントだと思います!
ご自分の運転の総点検。
これを是非お願いしたいというのが今回の提言です。