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今年のETC乗り放題プランは南東北・鹿児島もコース入り
「ETC二輪車ツーリングプラン」は、予約して申し込めば、ETC装着車を対象に定額で2日間、(コースによっては3日間)コースエリア内の高速道路を乗り降り自由、つまり乗り放題になるというかなりお得なプランです。
2017年に初めて「二輪車限定首都圏ツーリングプラン」として実施されたわけですが、昨年は7月14日~11月30日の5か月間に実施され、利用はなんと約5万件もあったと言います。
関東圏だけの実施だっただけに、他県地域での利用範囲の拡大を求める声も大きかったこのツーリングプラン。
2018年は「ETC二輪車ツーリングプラン」としてパワーアップされ、4月27日から11月30日まで利用が可能となります。(予約開始は4月25日15時から)
今回は首都圏以外にも新たに福島・中京・関西・九州など9つのコースが追加され、楽しめる範囲が広がったETC二輪車ツーリングプラン。
本稿では各コースの概要をご紹介しながら、バイク乗りの皆さんのツーリングプランの実際の利用方法や注意点などをお話していきたいと思います。
ETC二輪ツーリングプランの全コース概要
関東圏
昨年の「二輪限定首都圏ツーリングプラン」ではどのコースも2日間有効で一律2,500円。
確かに「この金額なら」と思ってテントを引っ張り出したライダーもいるかもしれませんね。
しかし、コースが120㎞前後に設定されていたため、「せっかく1泊ツーリングをするのに距離的に物足りない」という声が多かったのだそうです。
そんな声を反映させた、今年の関東圏の4つのコース。
今回の概要は下記のとおりです。
コース名 | 利用期間 | プラン料金 (税込み) |
申し込み先 |
(1)関越道・上越道・中央道コース | 2日間 | 4,000円 | NEXCO 東日本公式 WEBサイト (ドラ割) |
(2)東北道・常磐道・磐越道コース | 3日間 | 5,000円 | |
(3)東関東道・館山道・常磐道コース | 2日間 | 3,000円 | |
(4)首都圏 東名・中央道コース | 2日間 | 3,000円 | NEXCO 中日本公式 WEBサイト (速旅) |
※予約開始は4月25日15時から
まず、コースごとの値段が設定されるようになった点が昨年と違いますね。
東北道・常磐道コースは5,000円に引き上げられたものの、磐越道が加えられ、相馬・福島飯能・会津若松まで、なんと3日間の利用が可能になりました。
ツーリングが震災復興に一役買えるならライダーとしてもうれしいことですし、ラーメン・牧場・港の魚。
5,000円を安いと捉えるか高いと捉えるかは、計画次第といったところでしょうか。
つぎに、関越道・上越道コースには中央道が編入され、韮崎どまりだった中央道も諏訪まで使えるようになっています。
上信越道も碓氷軽井沢を超え東部湯の丸まで利用距離を延長。
このコースも4,000円と引き上げ幅が大きいわけですが、その分拡張され、夏に避暑地をめぐる山間のツーリングも充実させることができそうです。
そして前回は沼津までだった東名・新東名も、500円UPの3,000円で清水・新静岡まで行けるようになりました。
甲州ワインを楽しみながら富士の湖畔でキャンプ、そのまま次の日に清水港で新鮮な魚を楽しむなど、楽しみは幾重にも広がりますね。
さらに、これまで昨年房総エリアだけをカバーしていた東関東道・館山道コース。
こちらには常磐道が編入されました。
こうして多くの個所で起点の見直しが行われたり、常磐道や中央道などを複数のコースにダブらせてたりしているのも今回の特長の一つ。
こうすることで、コースの連携性が向上し、全体的にメジャーなツーリングスポットにリーチしやすくなった点は評価できるのではないでしょうか?
☆プレス発表によるとNEXCO東日本では、岩手県一関で8月開催の「バイクラブフォーラム」に向けて特別なツーリングプランを準備中だということです。
これについては内容がわかり次第お伝えしていきます。
関東ツーリングの名所5選! ランキングまとめ!(記事はこちら)
※2018年4月25日追記;「ETC二輪車ツーリングプラン」公式WEBサイトがオープン
本稿は2018年4月11日に作成した記事です。
NEXCOによるプレス発表記事等々を参考に作成しましたが、4月25日に公式WEBサイトがオープンした段階で、内容に差異があるというご指摘を賜りました。
ありがたいご指摘を受け、取り急ぎ当方でできるか限りの確認をし、必要な点について4月25日深夜、追記・改訂を行いました。
NEXCO東日本管内では利用申込期限に微妙な変更点が
NEXCO東日本管内では、申込期限が昨年とは変更されているので注意が必要です。
利用期限は「最初の出口通過まで」ではなく「高速道路の利用開始前まで」に変わっています。
つまり、昨年は入口ゲートをくぐって、途中のSAやPAで申し込んでエリア内の出口を通過してもプラン料金が適応になったのですが、そのタイミングですと今年はプラン適応外になります。
ですので、NEXCO東日本管内ではの利用は、必ず高速に入る前に申し込みを完了させてください。
各NEXCOで違う「利用申込期限」
しかしながら、「首都圏 東名・中央道コース」を管轄するNEXCO中日本は、申込期限を「最初の出口通過まで」としています。
昨年とはちがい、規約等に微妙な差があり、各NEXCO間でも若干の違いがあるようです。
ですのでお申込み前には必ず、該当するコースを管轄するNEXCOの「ETC二輪車ツーリングプランQ&A」や規約をチェックしてください。
また、さらに不明な点等は各NEXCOまでお問い合わせください。(連絡先等は後述ご案内します。)
嬉しい利用特典の内容も判明
「その代わり」と言っていいのか、沿線の施設の優待が受けられる利用特典が用意されていることがわかりました。
これは各NEXCOごとに違うサービスになるのですが、「ラーメン大盛りサービス」や、「缶コーヒープレゼント」、「ステーキを食べるとアイスがサービス」などなど。
ちょっとうれしくなる多彩な優待サービスがあります。
詳しくは下記をご覧ください。
NEXCO東日本
NEXCO中日本
- 管内全域の特典はこちらをご覧ください。
中京圏
バイク3メーカーの聖地静岡から、飛騨地域や福井、さらには京都や紀伊半島までをカバーしたこのコース。
アルプスも擁する山岳地帯もあり、海へ山へ湖へ。
さてこれをどう使いましょうか。
コース名 | 利用 期間 |
プラン料金(税込み) | 申し込み先 |
(5)中京圏 東名・中央道コース | 2日間 | 3,500円 | NEXCO 中日本公式 WEBサイト (速旅) |
(6)伊勢道コース | 2日間 | 3,000円 | |
(7)東海北陸道・北陸道コース | 2日間 | 3,000円 |
※予約開始は4月25日15時から
地域によってお国言葉も変わるこのエリア。
かなりバリエーション豊かなツーリングが楽しめそうです。
このエリア分けなら、例えば「京みやび」「ウナギ」「鈴鹿」「高山」「アルプス」など、キーワードを決めて攻めていくのも楽しいかもしれませんね。
筆者は関東人なので、思い浮かぶのはこのくらいなのですが、地元の方ならもっと面白い計画をされるのではないでしょうか?
また、そんな関東人としても、関東圏と中京圏の2つの東名・中央道コースを予約すれば、名古屋までの往復を2日間6500円でこなせます。
さらに、この区間を乗り降り自由でなのは嬉しいところですよね。
※2018年4月25日追記;NEXCO中日本の「ETC二輪車ツーリングプラン」公式WEBサイトがオープン
申込期限についいてのご注意
先述のように、NEXCO中日本管内ではプランの申込期限が「最初の出口通過まで」となっています。
ご予約前には、NEXCO中日本「ETC二輪車ツーリングプラン」利用約款 を必ずご一読ください。
また、さらに不明な点等はNEXCO中日本までお問い合わせください。
プラン利用特典が使える
こちらも先述お伝えしましたが、NEXCO中日本管内では、沿線の施設の優待が受けられる利用特典が用意されていることがわかりました。
「ラーメン大盛りサービス」や、「缶コーヒープレゼント」、「ステーキを食べるとアイスがサービス」のほかにもうれしくなる優待サービスが多数用意されています。
詳しくはこちらをご覧ください。
関西ツーリングプラン
こちらは京都・奈良・大阪を中心に琵琶湖や日本海、そして紀伊半島やKawasakiのお膝元である兵庫を擁する3つのコースです。
コース名 | 利用 期間 |
プラン料金 (税込み) |
申し込み先 |
(8)名神・北陸道 ・京都縦貫コース |
2日間 | 3,000円 |
NEXCO (みち旅) |
(9)舞鶴若狭道・中国道 ・山陰道コース |
2日間 | 3,000円 | |
(10)阪和道コース | 2日間 | 2,500円 |
※予約開始は4月25日15時から
名神・北陸道・京都縦貫コースではコースでは天橋立や京都など、雅な旅も楽しそうですね。
また、舞鶴若狭道・中国道・山陰道コースは姫路城や竹田城などの旧跡を巡り、歴史探訪ツーリングなども面白そうです。
さらに阪和コースでは、高野龍神スカイラインなどのツーリングスポットを巡り、奈良・和歌山方面へ海・山表情御豊かなツーリングを楽しむことができるでしょう。
関西ツーリングの名所5選! ランキングまとめ!(記事はこちら)
※2018年4月25日追記;NEXCO西日本の「ETC二輪車ツーリングプラン」公式WEBサイトがオープン
申込期限についての注意
既にNEXCO東日本・NEXCO中日本の「ETC二輪車ツーリングプラン」において申込期限が異なる点についてお伝えしました。
確認すると、NEXCO西日本のプラン申込期限は「高速道路利用開始前」となっています。
ですので、NEXCO西日本管内では高速に入るまでに必ず申し込みを完了させてください。
また、お申込みには必ずNEXCO西日本の「ETC二輪車ツーリングプランよくあるご質問」をご確認ください。
NEXCO西日本のプラン特典
NEXCO西日本にも、ツーリングプランの利用に限りSA/PAで利用できるクーポンが用意されているのがわかりました。
こちらは1,000円以上のお買い上げごとに100円のクーポンが5枚進呈されるというもの。
うまく使えばちょっとラッキーな気分になれるかもしれませんね。
詳しくはこちらです。
九州ツーリングプラン
こちらは福岡・熊本・長崎・鹿児島といった九州のほぼ全土をカバーする3コース。
コース名 | 利用期間 | プラン料金 (税込み) |
お申し込み先 |
(11)熊本・佐賀・長崎コース | 2日間 | 3,000円 |
NEXCO |
(12)熊本・大分・福岡コース | 2日間 | 3,000円 | |
(13)熊本・宮崎・鹿児島コース | 2日間 | 3,500円 |
※予約開始は4月25日15時から
ご覧の通り、こちらではエリアの連携性が高い設定になっています。
最近雑誌などでも特集が組まれるほど九州は注目されているツーリングスポット。
起伏に富んだ地形には、北海道とはまた違った趣きがあります。
特に熊本は、震災の復興応援ツーリングにも有利なコース設定。
すべてのコースに組み入れられて、どのエリアからもアクセスが可能となっています。
九州ツーリングの名所オススメ5選! ランキングまとめ!(記事はこちら)
※2018年4月25日追記;お申込みには必ずNEXCO西日本の「ETC二輪車ツーリングプランよくあるご質問」をご確認ください。
ETC二輪ツーリングプランの利用方法
地域が広がったことで、ETC二輪ツーリングプランを初めてご利用になる方も多いと思います。
そこで、利用方法をご説明しておきましょう。
予約やキャンセルについて
まず利用するにはネットで予約が必要です。
- 先述の表にある各コースのNEXCOごとの「申し込み先」に、PCやスマホなどからアクセス。
- そこから「ETCツーリングプラン」のバナーをクリックして入力画面を開きます。
- 開いた入力画面に、住所・氏名・連絡先などを入力し、ETCのカード番号や期限、そしてコースを走行するコースとバイクのナンバー等を登録。
- そして、リンクされている「ジャパンライダーズ宣言」というサイトに、「日ごろ心掛けているグッドマナー」を書き込む。
予約申し込みに必要なのはそれだけです。
ただ、チケットを買うわけではないので、キャンセル時にはただそのコースを走らなければいいだけ。
特にキャンセル料も発生しません。
急に雨が降ったり、コースを変更したい場合などにこれは助かりますね。
実際の利用方法について
策定されたコースの中、どこを起点してどこで降りてもかまいませんし、有効期間中であれば乗り降りの回数に制限はありません。
またこのサービスのいいところは、当日直前でも予約が可能なところだと思います。
※以下2018年4月25日改訂・追記
例えば、出先でこのサービスを思い出して使う、ということもあるかもしれませんね。
この場合、例え高速道路を走っていても、コースに入る前のSA・PAなどで予約を完了させればOK。
これまで走ってきた部分は通常料金で精算され、コースに入ってからは定額で走行することができるようになります。
※先述のように、線を引いた内容は2018年のツーリングプランでは、NEXCO中日本管内のみの対応になりました。
中日本以外のNEXCO管内では、高速道路に入る前までに予約を済ませてください。
※記事作成時にはNEXCO東日本様に確認させていただき、「エリア外から進入でも、エリアを含んでいれば、自動的にエリア料金が適応になる」という認識でした。
しかし、オープンした公式WEBサイトを読んでみると、基本的にはエリア内のICを起点とする必要があるようで、接続道路の種類によっても適応可否がまちまちです。
NEXCO東日本の「ETC二輪車ツーリングプラン」公式WEBサイトに、「プランが適応にならない走行」の用例がアップされましたので、必ずこちらをご確認ください。
また、さらにご不明な点は、各NEXCOの相談窓口までお問い合わせください。
NEXCO東日本 05700-024-024(ナビダイアル)
または 03-5338-7524 いずれも24H対応
NEXCO中日本 0120-922-229(携帯・一般電話用)
052-22-0333(PHS/IP電話用)いずれも年中無休、通話は無料です。
NEXCO西日本 0120-924-863
または 06-6876-9031(有料) いづれも24H対応
この項目の追記は以上です。
事前に区間の料金チェックを!
2日間(東北道・常磐道・磐越道のみ3日間)エリア内の高速を定額で乗り降り自由になることがこのプラン。
しかし、利用の仕方によっては逆に損をしてしまうことがあるので、注意が必要です。
それは、距離や日数によって通常料金、あるいは深夜・平日早朝や休日割引などを使った方が安くなるケースがあるからです。
この損を避けるためには、利用しようとする道路のNEXCOのホームページなどで、利用区間の料金を調べて比較しておくことが必要でしょう。
各社のリンクを下記につけておきますのでご参考になさってください。
NEXCO 東日本公式 WEBサイト (ドラ割) |
NEXCO 中日本公式 WEBサイト (速旅) |
NEXCO 西日本公式 WEBサイト (みち旅) |
筆者も執筆にあたって、調べてみましたが、短い区間は損する傾向があり、長い区間は非常に得なのがわかりました。
出口料金所の表示はETC普通料金?
また、出口の料金所では通常料金が表示されます。
でも、カード精算時にちゃんと定額プランの料金で精算されますので驚かないでくださいね。
このプランが目指すところ
「どうせなら、4輪と分離した2輪料金をつくれよ!」
これは昨年の二輪車限定首都圏ツーリングプランがメディアで発表された当時、ネット上によく見られた意見です。
ツーリングでバイク需要と町おこし
確かにそうですよね。
ただ、これはちゃんと準備されているようです。
昨年筆者は、埼玉県小鹿野町で行われたバイクで町おこしをするイベントで、この件について話される一般財団法人社団 日本二輪車文化協会の吉田純一会長のお話を伺いました。
(吉田 純一会長)
ちなみに一般財団法人社団 日本二輪車文化協会は、バイクに乗る国会議員さんたちとともに、政策からバイク環境を良くしていこうとしている団体です。
近年ではETCの購入助成金制度や、各地の駐輪場整備を推進していることで知られる団体でもあります。
お話によると、2輪用のETCの普及を図る中で、バイクのツーリングの利便性をさらに向上したいという話があったそうです。
実際、小鹿野町のようにバイクのツーリング先として観光誘致をする自治体も増えてきていて、「バイクと町おこし」ということにも有用性が理解されてきたと言います。
それならと、有料道路の2輪料金を4輪と分離させたいということになり、今もこれは懸案事項なのだそうです。
しかし、各高速道路会社とも協議を重ねる中で、事故の増加などを懸念する声から、2輪料金の常態化というのは調整が難航していると言います。
そこで代替案として昨年春、「このシーズン中にも使える案を考えて実現させよう」と動いたのが「二輪車限定首都圏ツーリングプラン」だったというわけです。
お話としては以上でしたが、昨年のプランが成功案件として認められ、それが今回の地域拡大へとステップアップしたのですね。
さらに、各地でバイクのツーリングが地域の振興に有効であるということ、その理解が社会的に深まれば、次なるステップとして2輪料金常態設定があるようです。
ですから、まず多くのライダーがこのプランを利用して、ツーリング先の産物に親しむこと。
そして何より無事に帰ってくることが、2輪の料金をはじめ、我々ライダーのために有利な施策を今後充実させていく後押しになるようです。
安全とマナーが肝
関係者に直接伺うところによると、そもそもバイクツーリングによる地域活性とバイク需要を拡大させることが、このプランの目的だというのがわかります。
ですが、悲しいことにバイクというのは、社会に対して「騒音」や「暴走族」そして「事故」などのネガティブな思考を想起させやすい乗り物。
これはプランを利用するしないに関係ないことでもありますが…。
例えば、基準外の騒音でツーリング先の街を悩ませたり、集団ですり抜けをしてドライバーに怖い思いをさせるのもそうですね。
あるいは、レストラン駐車場の順番待ちをしている車列の先頭にマスツーリングの大団体が割り込んで席を取ったり。
とにかく、このプランでバイクの利用が増えていく中で、バイクの肩身を一層狭くする行為は絶対に避けなくてはなりません。
小鹿野町もそうですが、今も本当に多方面でたくさんの人がバイクと地域の振興のために努力を重ねています。
なので、バイクに乗らない人から「へぇ、バイクって思ってたよりいいもんなんだね」と思わせるようなマナー。
これがもちろんご自分の安全のためにもなりますし、そうした「地域とバイク」を今後も盛り上げていこうとする人々の力にもなります。
ぜひ、このシーズンはツーリングプランを利用して、ナイスマナーで安全にお出かけください。
それがきっと来年、再来年とバイクにとって良い環境を作るきっかけになっていくことでしょう。