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Husqvarnaは脈々と
「Husqvarna」と言えば、スウェーデン王国が創ったバイクメーカー。
かつてスウェーデンでは、国の有事の時に駆け付け軍に合流するようにと、各家庭に一台Husqvarnaのバイクが与えられていたと言います。
1903年以来114年にわたり、北海道よりも緯度の高いスカンジナビアの厳し環境の中で鍛えられてきた老舗メーカ。
皆さんの中には恐らくオフロードやエンデューロ、スーパーモタードでの活躍をイメージする人も多いことでしょう。
オフ系バイクのイメージが濃いHusqvarnaですが、バイクを発売し始めた時代にはロードモデルでレースに出場していたメーカーでした。
統合や分裂、いくつかの危機を乗り越えながら、最近ではオーストリアのKTMと同じ傘下でその伝統が保たれています。
イタリアのミラノ国際モーターサイクルショー(EIMCA)。
世界のメーカーから度肝を抜くようなバイクたちが次々と初お目見えしていますね。
もちろんHusqvarnaも出展していて、遂にベールを脱ぐというか、一皮むいた感じのマシンを出してきましたよ。
VITPILEN701&SVARTPILEN 701 CONCEPT
今回のEIMCAでHusqvarna~新たに発表されたのがVITPILEN701 2018モデルとSVARTPILEN 701CONCEPT
そしてVINPEN4012018年モデルとSVARTPILEN 401 2018年モデルの4台。
日本語的には「ヴィットパイレン」「スヴァルトパイレン」と発音すればいいでしょうか?
とにかく、オフだけじゃないHusqvarnaのロードの世界を見ていくことにしましょう。
まずは中型モデルから見ていきますよ。
VITPILEN401
いかがでしょうか。
実にシンプルですよね。
400㏄クラスでスポークホイールっておしゃれじゃないですか?
国内メーカーでは今確かない組み合わせですよね。
しかも前後ともサスペンションはホワイトパワーですよ。
ホイールにあしらわれたイエローのワンポイント。
イタ車とは違った感じの雰囲気がいいですね。
メーター周りもやはりシンプルそのものです。
ライトはLED。
車幅灯的なリングがオシャレですね。
基本シャーシはKTMと共通のように見えます。
筆者もDUKEに乗ったことがありますが、ほぼ同じだとすれば面白いですよ。
400のシングルではありますが、ドドっというトルク感より、例えばCBR400RRのようなツインよりも軽く上までたららららっとふけ上がる感じですね。
車体も相当軽いと思いますから、意外にと言ったら怒られそうですが、街乗りからワインディングまで楽しめるバイクだと思います。
面白いのはこのエンジンに「アンチホッピングクラッチ」というものがついていることです。
要するにスリッパークラッチのようにエンジンブレーキ時のバックトルクをある程度逃がしてくれるものだと思いますが、エンジンの性格を想像するに、結構「攻め」の走りも期待してしまいます。
タンクからシートにかけてのつるっとした感じは「IKEA」っぽくもあります。
いやこれは機能性を評してのお話。
HusqvarnaはIKEAと同じくスウェーデンが母国。
スカンジナビアデザインというのは人間工学を重視したデザインなので、このシンプルにまとめられたデザインも、人の感覚にフィットしたものだといえるでしょう。
このVITPILEN401と共通の基本シャーシを使ったもう一つの「味」がSVARTPILEN401です。
SVARTPILEN401
どうでしょう。
ミニマムな感じ、他にはないですよね。
というかちょっとスパルタンな気さえしてきます。
VITPILENとの違いは未整地走行を意識したタイヤの装着。
そしてタンクの上にラゲッジスペースがあるのもオシャレです。
使い方次第では他にはない便利な使い方があるかもしれませんね。
ハンドル周りもちょっと渋い感じになっています。
ライトにはガードがついてがっしりしたイメージです。
意外に街の中をこんなワイルドなイメージで走れる400ってなかなかないですよね。
バリバリ走る感じで、きっと目立つと思いますよ。
さて、巷ではネオレトロが流行っていますが、Husqvarnaはその流れにこの700㏄でもう一つ違う角度から切り込んできました。
それがこのVINPEN701。
VITPILEN701
フロントからのショットはシンプルかつ逞しさも感じますね。
テールからタンク周りにかけては、かなりコンパクトに絞られた感じです。
サイドビューもマフラーやリアフェンダーあたりに「今っぽさ」を感じますがとにかくシンプルなヘリテイジバイクという印象です。
特長的なシート周りは寄ってみてみると非常にコンパクトかつスーパースポーツのように切り立ったイメージですね。
イエローのラインがワンポイントになって素敵です。
シート自体もMOKKAのレザーファブリックが使われ、上質な座り心地だと言います。
インパネ周りもとにかくシンプル。
ホワイトパワーのアジャスターがうまい具合にワンポイントになっています。
キーの位置がオシャレですよね。
一見レトロっぽい全体のイメージですが、ヘッドライトにはしっかりとデザインされたLEDライトが使われ、「ネオ」なイメージを演出しています。
トラスのスチールフレームに組み合わされた700㏄の単気筒エンジンは75馬力。
油圧式のスリッパ―クラッチが組み込まれ、サスは前後ともをホワイトパワー製。
キャンセルスイッチを備えたABSが装備されています。
総重量166㎏と言いますからかなりトルクフルでホットな走りが期待できますね。
無駄を排して必要なものだけで勝負する人を「ミニマミスト」と呼ぶそうです。
このVITPLEN 701のコンセプトもまさに無駄を省きミニマミストデザインであること。
恐らくこれらの写真だけでは「シンプル過ぎる」という声もあるかもしれません。
しかし、VITPILEN 701が持つミニマムの中にしっかりと収められた上質な質感は確かなもの。
「写真での見た目を実車の存在感に裏切られる」きっとそんな一台だと思います。
諸元的には701がベースになりますが、VITPILENには「もう一つの顔」があります。
それがSVARTPILEN 701CONCEPT
SVARTPILEN 701CONCEPT
400㏄には既にSVARTPILEN401があり、ちょっと前の言い方をすれば「デュアルパーパス」タイプとしてラインアップに加わるわけですが、
SVARTPILEN701は、このクラスのネオレトロバイクに新しい提案をもたらすためのコンセプトバイクということです。
古い石畳など、路面が必ずしもアスファルトではないヨーロッパの街並みには溶け込みやすいデザインかもしれません。
そういえば日本でも、タイヤが「ドン」と主張しているようなレトロバイクってないですよね。
これはかなり個性的。
ワイルドなミニマミストにはぴったりですよきっと。
まとめ
冒頭お伝えしているように、オフやエンデューロ、そしてスーパーモタードでは歴史と定評のあるHusqvarna。
今回はロードバイクを新たにラインナップに加え、ロードに「戻ってきた」わけです。
VITPILEN・SVARTPILEN両シリーズのミニマミストデザインは強烈に個性的です。
レトロイメージも持ちながらそれはまるで、「既成概念すら捨ててさっぱりしろ」と言っているかのようです。
日本ではまだ実車はお目に掛れませんが、たぶんジャーナリストの先生方のインプレッションレポートが出回る頃には
そのキャラクター紹介に、きっと気になる一台になることだと思います。
Husqvarnaの新しいロードの世界にぜひ期待しましょう。